BOOK
□手 (ウネ)
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「バーカ」
あいつは静かにおれを押し留めた。
「運転手さんから見えるだろ」
そして両手でおれの手を包んで持ち上げるとそっと唇を寄せた。
「あとで目一杯可愛がってやるから」
耳が熱を持つのを感じた。
ヒョクの綺麗な手が肌の上を這い回る様を思い浮かべ、身体の奥底に小さな火が灯る。
「あっ、でもオレ腰に注意らしいからやめた方がいいかな」
また始まった、ヒョクの意地悪
拗ねて手を離そうとしたらあいつは慌てておれの手を握り直した。
「ウソウソ。怒るなって。そうだ、お前には変態線があるんだよな?」
「アブノーマル線!芸術的センスがあるんだよ。天才肌なの。お前みたいな凡人とは違うんだよ」
「あれ?手相なんか信じないんじゃなかったっけ?」
「う、うるさい!」
マジでコイツ、ムカつく
でも
繋いだ手は離さないでやるよ
「そう言えばお前『頭の中の妄想がすごい』って言われてたけど」
ヒョクはニヤニヤしながらおれの耳に口を寄せた。
「それってオレとのエッチ妄想?」
「バカ!!」
バシッと思いっきりその頭を叩いた。
「痛ってぇ!何すんだよ!」
反撃して来たヒョクと狭いシートで揉み合う。
とその時、
「お客さん、危ないから後ろで暴れないでね〜」
「あっ、はい!すみません!」
運転手さんの声におれ達は慌てて座り直した。
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「えっ、今の韓国語…」
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