BOOK

□手 (ウネ)
4ページ/5ページ


「バーカ」

あいつは静かにおれを押し留めた。

「運転手さんから見えるだろ」

そして両手でおれの手を包んで持ち上げるとそっと唇を寄せた。

「あとで目一杯可愛がってやるから」

耳が熱を持つのを感じた。
ヒョクの綺麗な手が肌の上を這い回る様を思い浮かべ、身体の奥底に小さな火が灯る。

「あっ、でもオレ腰に注意らしいからやめた方がいいかな」

また始まった、ヒョクの意地悪

拗ねて手を離そうとしたらあいつは慌てておれの手を握り直した。

「ウソウソ。怒るなって。そうだ、お前には変態線があるんだよな?」
「アブノーマル線!芸術的センスがあるんだよ。天才肌なの。お前みたいな凡人とは違うんだよ」
「あれ?手相なんか信じないんじゃなかったっけ?」

「う、うるさい!」

マジでコイツ、ムカつく
でも
繋いだ手は離さないでやるよ

「そう言えばお前『頭の中の妄想がすごい』って言われてたけど」

ヒョクはニヤニヤしながらおれの耳に口を寄せた。

「それってオレとのエッチ妄想?」
「バカ!!」

バシッと思いっきりその頭を叩いた。

「痛ってぇ!何すんだよ!」

反撃して来たヒョクと狭いシートで揉み合う。

とその時、
「お客さん、危ないから後ろで暴れないでね〜」

「あっ、はい!すみません!」

運転手さんの声におれ達は慌てて座り直した。





「えっ、今の韓国語…」

>>> message…
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ