BOOK

□手 (ウネ)
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ヒョクの手が好き

不安な時、さりげなくおれの手を握ってくれる優しい手も
カッコいい事言ったあと照れて顔を覆う恥ずかしがり屋の手も
触って欲しいとこをわざと外して素通りして行く意地悪な手も

全部好き


だから
他の人には触られたくないんだ




「アレはちょっと失礼だったんじゃない?」

ホテルに帰るタクシーの中でヒョクが言った。

「え、何が?」

ホントはわかってたけどとぼけてみる

「手相の…シマダさん、だっけ?にお前、なんか感じ悪かったぞ。見て欲しくないとかさ」
「そう?ただのジョークじゃん」
「ふうん。その割には怖い顔してたけどな」

おれはヒョクの視線から逃げて窓の外に目を遣る。

「手相なんて別に見て貰いたくなかったのに」

ヒョクやトゥギヒョンは占いとか好きだけど、おれはそういうのあんまり信じてない
自分の道は自分で切り開くしかないと思ってるから

「でも、番組のゲストだろ。わざわざ来てくれたのにさぁ…」

あいつの責めるような口調になんだかムカっとして大声が出た。

「だからヤだったけどちゃんと見せただろ!」

ヒョクが驚いたようにおれを見たのがわかった。そして聞こえた小さな溜息。
胸に苦いものが拡がる。


ホントは
ホントはあの人がお前の手を触りまくってたのが嫌だったんだよ
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