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□ツン希望 (ウネ)
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「体、大丈夫か?」
「へっ?」
おれは間抜けな声を出してヒョクを見た。でもアイツの目はテレビを見つめたまま。
「う、うん…」
なんだろ
おれ具合悪いとか言ったっけ?
やっぱりしたいのかな
「ヒョ…」
部屋に行こうかって誘うつもりで横を向いたおれは、強い力でヒョクに抱きしめられていた。
「どした…の?」
「何でもない。何でもないけど…ちょっとだけこのままで居させて」
ヒョクの声が震えてる気がしておれは不安になる。
…イヤだ。ヒョク、何考えてんの?
怖くて声に出す事も出来ずおれはヒョクにしがみつく。
「ドンヘ、愛してるよ」
耳元で囁くとヒョクはおれから体を離して「おやすみ」と言ってリビングから出て行った。
茫然とその後ろ姿を見送るおれ。
追いかけたいのに体が固まって動けない。
愛してるって言ったよね?
でもなんか思い詰めた言い方にそれは別れの言葉みたいに聞こえた。
何があったの?
問い詰めたかったけど、あの感じだときっと聞いても答えてくれない。
明日、明日まで待ってみよう
明日になればきっと…
その夜おれはなかなか寝つけなかった。
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明け方にちょっとだけウトウトしたけど結局ほとんど眠れなくって、おれはバリバリ寝不足でコーヒーを飲みにキッチンに向かう。
ギャハハハとバカみたいなデカい笑い声。
…え、今のってヒョク?
「そこはやっぱエロエロなトゥギヒョンなワケよ。カンイニヒョンのいとこだとも知らないで嬉しそうにその子のメアド聞いたり…あ、ドンヘおはよ」
リョウクと何かバカ話してた様子のヒョクはおれを見つけて声をかけてきた。
すんごく、フツーに。
「おはよう、ドンヘヒョン。眠そうだね」
ポカンとしてるおれにリョウクがコーヒーを入れてくれた。