BOOK

□ツン希望 (ウネ)
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最初っからなんか変だった。

《今どこ?》

仕事場から帰る途中、ヒョクから入ったカトクのメッセージ。

おれは信号待ちの合間に《もうすぐ家着くよ》って返事をする。
《どうしたの?》って送ったけど返事はなかった。

なんだよ、そっちから聞いてきたクセに

ちょっとムカつきながら車を走らせて宿舎に帰る。

気になったから一応11階に寄って行こって玄関を開けると、足音がしてヒョクが現れた。

「おかえり」
「なに?おれを出迎えてくれたの?」

嬉しくなってその腕にしがみつくと

「そんなんじゃねぇよ」
って言ってそっぽ向いたけど、振り払われたりはしなかった。
いつもならうっとおしいって押しのけられるのに。

「お前、メシは?」
「もう食べたよ。ヒョクは?」
「食った」

短く言ってヒョクはキッチンからおれのカップを持って来てテーブルに置いた。

「アメリカーノさっき淹れたから」

…えっ、なに?
やたらサービスいいんだけど…

あ、これは心の声ね
だってこんな事言ったらヒョク絶対怒るから

ビックリしながらもおれは「ありがとう」って礼を言ってカップを持ってリビングのソファに座る。
ヒョクがストローさしたイチゴミルクのパックを手に、おれの隣にぴったりと寄り添うように座る。

な、なんか近い…

いつもとは違う雰囲気にその横顔を盗み見た。
ヒョクは黙ってテレビを見てる。
おれはちょっとだけ横にずれてヒョクとの間に空間を作る。
と、ヒョクがその隙間を埋めるように俺の方にずり寄った。

やっぱり変だ。ヤりたいのかな?
いや、違うな
そんな時はこんな回りくどい事しないでヤらせろって普通に言うもん
てか、何も言わないで押し倒してくるし
どしたんだろ…

胸がざわざわして落ち着かない。
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