BOOK
□治療 (ギュイェ)
3ページ/6ページ
「なんでじゃないよ。安静が一番なんだって。早く治したいだろ?」
しょんぼりしながら彼は頷く。が、ペンを手に取ると口を一文字にして何か書いて俺に見せた。
《せっかく時間できたのに、ヒョンはもうすぐツアー始まるでしょ?そしたらまた会えなくなる》
「そんな事ないよ。日程はそんなに詰まってないから、間はこっちに帰ってくるし…」
マンネは眉を下げて寂しそうに俺を見つめた。
「俺が治るのに結構かかったから、用心して欲しいんだよ。長引くと後遺症も残るらしいし」
そんな事言われなくても本人が一番わかってるハズだ。だから泣く泣く地方公演もラスも休むと決めたんだろう。
それがどれだけ苦しい決断だったかは容易に想像できる。
俺の言葉に唇をきゅっと噛んで彼は項垂れた。
その辛そうな表情が胸を締めつける。なんとか彼を笑顔にしたかった。
俺はベッドの上のボトルを拾うと蓋を開けてスロートコートを口に含む。
そしてキュヒョンの顎を片手で捉え唇を寄せると、その隙間からハーブティーを流し込んだ。
マンネは最初驚いた顔でされるがままになっていたが、途中から嬉しそうに俺の首に腕を回した。
お茶の口移しは無事に終わり、俺は唇を離して囁く。
「これは"治療"だよな?」
キュヒョンは満面の笑みで頷き、おかわりをねだった。俺は仕方なくもう一度同じ行為を繰り返す。
《もう一度…》
三度目が終わる頃、あいつの舌が入って来た。スロートコートを一滴も残したくないかのように、彼は俺の口の中を舐め回す。
「あッ…は…」
粘膜を弄られて頭が真っ白になる。息が浅くなり、俺はいつしかキュヒョンにしがみついていた。