BOOK

□ずっと (ウネ+その他CP)
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外に出るなら上着を取りたかったんだけど、クローゼットまで行きづらくておれは入口近くのテーブルに置いてた財布とキャップを手に取ると急いで部屋を出た。

「ごめんな」って二つの声が重なるみたいに背中に当たった。
同じトーンで同じタイミングで発せられた言葉におれは小さく微笑む。

夫婦って似てくるって言うけど、ホントだよね

ジャージ姿のおれは帽子を深く被って玄関を出ると、エレベーターを待つ。

秋の少し冷たい空気に身震いする。

思ったより冷えるな
カフェにでも行こうかな
でもおれ、ひとりで店に入るの苦手なんだよな

せっかくのオフなのにひとりぼっち…

なんだかすごく悲しくなった。

ヒョクはおれが宿舎に居るって思ってんのかな
もしかしておれの居所探してたりして

慌ててポケットを探った。

あれ…

あちこちのポケットに手を突っ込んでみたけどスマホはなかった。

しまった…!

どうやらヒョクの部屋に置いてきちゃったらしい。
なんだか急に不安になる。

もしヒョクが漫画読むのに飽きてどっかに出掛けたいって思ったら?
連絡つかなかったらおれ置いてかれちゃうじゃん

どうしよう…

かと言って取りに戻った時、おれが居なくなったのにも気づかないでヒョクが漫画読んでたら絶対凹む。

悩んでいたら急に冷たい風が吹いて来ておれはまたブルッと震えた。

やっぱり一旦帰ろう
上に何か着ないと風邪ひいちゃう
スマホ探すついでにヒョクの上着勝手に借りちゃお
おれを放ったらかしにした罰だ


誰も気にしてないだろうけど、すぐに戻って来たのが恥ずかしくて静かに玄関を開けヒョクの部屋に向かう。
そっとドアを開けて覗き見ると、やっぱりヒョクは少し前とおんなじ格好で漫画を読んでた。
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