赤い鬼神
□親子ってのは嫌なとこばかり似るもんだ
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「覚えてるか。銀時、夕貴?俺が昔鬼兵隊って義勇軍を率いていたのをよォ…そこに三郎って男がいてな。剣はからっきしだったが機械にはめっぽう強い男だった。俺は戦しにきたんじゃねェ親子喧嘩しにきたんだって、いっつも親父の話ばかりしてるおかしな奴だったよ」
「「…」」
「だがそんな奴も親父の元へ帰ることなく死んじまった…まったく酷い話だぜ、俺達は天人から国を護ろうと必死に戦ったってのに。夕貴は知らねーだろうがなァ肝心の幕府はさっさと天人に迎合しちまった。天人との関係を危惧してあっさり侍どもを切り捨てやがったんだ。鬼兵隊も例にもれず粛清の憂き目にあい壊滅…河原にさらされた息子の首見て親父が何を思ったのかはかたくねーよ。お前ェがいる幕府はそーいうところだ」
「…」
「高杉、じーさんけしかけたのはお前か」
「けしかける?バカいうな。立派な牙が見えたんで研いでやっただけの話よ。わかるんだよ俺にもあのじーさんの苦しみが、俺の中でも未だ黒い獣がのたうち回ってるもんでなァ…仲間の敵を…奴らに同じ苦しみを…殺せ殺せと耳元で四六時中さわぎやがる。銀時、夕貴、てめーらにはきこえねーのか?いやきこえるわけねーよな。過去から目ェそらしてのうのうと生きてるてめーらに牙をなくしたてめーらに俺達の気持ちはわかるまいよ」
黙って聞いてりゃ好き放題いいやがって。カラクリの暴走に逃げ惑う人達を横目に私と坂田の背中にある高杉の刀を強く握り締める。
「!!」
「「高杉よ。見くびってもらっちゃ困るぜ、獣ぐらい俺/私だって飼ってる」」
「…」
「ただし黒くねェ白い奴でな、え?名前?定春ってんだ」
「ドSな奴でね、総悟っていうんだ」
人の姿をしているがアイツは立派な獣だよ。手に負えねえからお前んちで飼ってくんない?なんてな。坂田に合図して刀からぱっと手を離しその場から少し離れ高杉が彼に殴られたのを見つめてからトシ達の元へと戻っていった。