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江戸まで距離があるので、疲労が激しいミランダさんの為にも、ちょめ助が小舟で運んでくれる。
目指すは日本の伊豆。
全員乗り込み、残るはアニタとマホジャ。
リナリーさんが手を伸ばすも、交わらずに。
そのまま、リナリーさんの髪に触れる。
「髪、また伸ばしてね」
とても綺麗なんだから。
戦争に負けちゃダメよ。
「アニ、タさん……」
離れていく小舟。
僕は顔を伏せる。
理解はしていた。
彼らはここで終わる。
彼女らもその一人。
リナリーさんはアニタの名前を何度も呼んでは、ウソだと叫んで。
必死に手を伸ばす。
ボロボロ零れる涙。
泣き崩れて、そして。
弾けるように解けた。
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