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刻々と近付く別れの時。
甲板に呼び出された僕ら。
そこにいたのは、アニタとマホジャ。
それにたった三人。
他には誰もいない。
アニタはまず謝ってから、船員は見送りは不要だと伝えたんだと言った。
今は船内で宴会中だと。
最後の時を各々過ごさせたい。
そんなアニタの気遣い。
だけどそれを意味するのは。
「生き残ったのは、ここにいる人のみ………ってわけですか」
たった数人。
守れなかった。
ミランダさんとリナリーさんは涙して。
自分と力のなさを悔やむ。
けれどアニタはミランダの肩に手を置き、
「いいのです」
とても優しい笑顔で。
不安を取り除くように。
皆アクマに家族を殺され、サポーターとなった。
復讐の中でしか生きられぬ存在。
「我ら同志の誰一人、後悔はしていません」
僕らは必ず日本へ進まなければならない。
自らを盾とし、道を切り開いてくれた彼らの為にも。
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