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□2018クリスマス
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「念願の足湯…」
「オレには何がいいのかサッパリ」
「気持ちいいでしょ?」
「うーん…?」

日が暮れる前に目的の場所に到着して明るいうちは花やら池やらを眺めながら一緒に写真を撮ったりクレープを食べたり。暗くなって来るとイルミネーション目当ての客が増えて来たのか物凄い人で、はぐれないように手を繋いだら「わお、ゴテンクスくん積極的」なんて可愛げのないことを言われた。

彼女が気になっていたらしい足湯は思ったよりも人が多くなくて端っこに座り込んだのはいいけど何も考えずにタイツを履いてきたから無理だということで断念ってなったら近くにいたおばちゃんが靴下の上から履く専用の袋をくれたから有難く使わせてもらった。

あんなに足湯足湯言ってたのにタイツを履いてくるところとかドジだなって思うけどそこが結構好きだ。一緒にバカやれるって気を使わなくていいし。

「イルミネーション綺麗だね」
「まぁな」
「そこはなまえの方が綺麗だよ、とか」
「言ったら笑うくせに」
「うん、絶対笑う」

想像しただけで…と口元を隠しながらクスクスと笑っている彼女に苦笑いをしながら周りのイルミネーションを見渡す。確かに綺麗だし…隣にはなまえがいるし…足湯はよく分かんないけどまぁポカポカしてるし…。

「………」
「どうしたの?」
「何も」
「あ、さてはやらしいこと考えてたんでしょ?」
「考えてないって」
「顔真っ赤だよ?」

伸びてきた白い手が頬に触れて冷たい感触を残して行く。咄嗟に掴んだ手首は折れてしまいそうなほど細くてこんなんでちゃんと生きて行けんのかなって心配になった。

「…ゴテンクス?」
「キスしたい」
「ん…でもここじゃちょっとね」
「どこならいい?」
「ふたりきりになれるところかな?」
「じゃあ行こう、ふたりきりになれる場所」
「もう少し…イルミネーション見たら行こうね」

恥ずかしそうに視線を逸らしてしまった彼女の照れ顔を眺めていたら、せっかく来たんだからイルミネーションを見ろと怒られた。オレ的には照れてる彼女の顔を見てる方が幸せなんだけど。



20181215



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