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□夜を包む
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寒い。寒すぎる。

お風呂で暖まったはずの身体が少し廊下を歩いただけで冷え切ってしまったため速足で寝室に向かう。

本音を言えば見たい番組もあるしホットミルクでも飲みながらのんびりしたいところだけれど、一足先にゴジータが寝室で待っていることを知っているから今日は諦めて録画しておくことにした。だって私がお風呂に入る前に凄く濃厚なキスをして来たから多分そういう気分なんだと思う。

「さーむーいー!」
「おい、くっつくな。俺まで冷える」
「せっかく真っ直ぐここまで来たのに」
「頼んだ覚えはない」

氷のように冷たい男だ。さっきものすごーくヤラシイ雰囲気にしたのはどこの誰だ。

彼にくっつく事を諦めておとなしく布団に潜り込めば先にいた彼のぬくもりが伝わって来る。あとに来てよかった。布団の中で身体を丸めているとゴジータがぎゅっと抱き締めてくれて更に暖かくなった。前言撤回。氷どころかカイロみたい。

「あったかい…」
「布団の中でするか」
「今日はこのまま寝たいです」

ゴジータの背中に腕を回してよりいっそう距離が縮まる。胸のあたりに擦り寄るとドクドクと心臓の音が聞こえて少し安心した。

「言ってることとやってることが矛盾してないか?」
「くっついて寝たいだけ。決して変な意味じゃない」
「俺は変な気分になる」

密着したままの状態で組み敷かれてあたかも当然だと言うようにキスが降る。触れる唇や指はやっぱり暖かくて何処となく拒否し難い。

彼が上にいるため布団に隙間ができて寒くなってくるとそれを分かってか優しく抱擁しながらまた身体を暖めてくれた。人肌ってものすごく心地良くて安心する。それでもやっぱり寒いものは寒いけれど。

「やっぱり寒いから今日はやめよう…?」
「どうせすぐ気にならなくなる」
「ならないって」
「お前が動くか?」
「…ヘンタイ!」

もう知らんとばかりに横を向いて身体を丸めるとクスクスと笑う彼が隣に来て、さっきと同じように並んで同じ布団を共有する。

お互いに暖め合うようにまた身体を寄せ合えば気持ちよく眠りにつくのもそう遠くはない。



20181226 title かなし



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