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「わーー!ごめんなさいっ、ごめんなさい!」
「謝るようなことをしたのか?」
「そ、それは…、」

背中は壁にぺったりとついていて目の前には少々バツの悪そうな顔をしたゴジータさん。
さっきの表情から軽く命の危険さえ感じていたがどうやらその心配はない模様。と他人事のように実況してみる。

「してたとしても俺も人の事は言えないよな」
「そうですよ!元はと言えばゴジータさんが」
「俺が?」
「ゴ、ゴジータさんが、他の女の人と…」

必要以上に仲良くしてるから…、と言いかけたところで伸びてきたゴジータさんの手にクイと顎を持ち上げられる。

ドキドキするな私…。
相手はさっきまで他の人とイチャイチャしてた大馬鹿野郎だぞ…!

「少しでも妬いたなら俺の作戦は成功だ」

親指が下唇をなぞった後、私の心の葛藤も虚しくゴジータさんの唇が遠慮することなく重なった。


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「…っ、ゴジ…、タさん、」
「?」
「息がっ…」

苦しいです、と最後まで口に出すことさえ今はつらい。
休憩中だとは言えスタッフルームでキスしてるなんてベジットさんには一生からかわれ続け綺麗な心をお持ちのゴテンクスくんにいたってはとても見せられたものじゃない。

「この前の返事が聞きたい」
「……この、前、?」
「そろそろ俺のものになってくれてもいいだろ?」
「…ふらふらしてる人は嫌いです」
「ふらふらしてるか?」

問い掛けに頷くと両手首を壁に押し付けられて自由が無くなる。
口元に弧を描いたゴジータさんは「俺だって嫉妬してるんだ」と耳元に顔を寄せた。

「ゴテンクスくんは友達です」
「あいつはどうだろうな?」
「ゴジータさんもお客さん側はどうなんでしょうね?」
「わりと張り合うタイプか?」
「相手が張り合ってくるタイプなら」
「威勢がいいな」

両手を解放されたかと思えばゴジータさんの大きな手が腰に回されてもう片方の手でぽんぽんと頭を撫でられた。

「…急に優しくしちゃって」
「あんまり意地悪してると嫌われそうだ」
「嫌いです。…ゴジータさんなんて…嫌い」
「じゃあ好きになって貰えるように努力しないとな」

額にキスを落とした彼はやっぱり意地悪な顔をしていて、私が不満だと言わんばかりにそっぽを向けばまた意地悪く笑いながら「可愛いからつい」なんて口にした。

「これで最後にするよ」
「…嫌い」
「本当は?」
「……ふつう」
「本当に?」
「………すき」

優しいゴジータさんも意地悪なゴジータさんも全部全部だいすき。



20191001



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