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ゴジータさんに腕枕をされながら何だかスッキリしない感情に抱かれる。
嬉しくないが理由をあげるならパッと思いつくだけでもいくつかある状態だ。

「あの…ゴジータさん…」
「?」
「たいへん申し上げづらいんですが…」


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「ゴテンクスならとっくの前に帰らせた」
「えっ!?」
「なまえが来てすぐくらいか。連絡しておいた」
「ってことは…最初から私に荷物をまとめさせる気はなかったわけですか…」
「どうして出て行く必要がある?ゴテンクスに惚れたか?」

私の頭の下にある腕を折り曲げて後頭部を撫でながら額にはちゅっと唇が落とされる。
ゴテンクスくんを好きになったとかそんなんじゃないのは分かってるくせにまたそうやって意地悪するんだから。

「ゴジータさんには…大切な人がいるんですよね、?」
「目の前に」
「私じゃなくて…」
「なくて?」
「家に呼ぶような…相手が」

やっと聞けた、という思いと聞いてしまった、という思いで複雑だった。
最初こそ何のことだと考えている様子のゴジータさんだったがすぐに「あぁ、あれか」と何かを思い出したみたいだった。

「知ってたのか」
「一応…見ちゃいました」
「まぁ、そういうことだ」
「………はい」

意外にも彼は私に恋人の存在を隠すことはしなかった。胸が苦しい、痛い。
じんわりと目の奥が熱くなって来たけれど鼻を啜りさえしなければ見つかりはしない、大丈夫。

「軽蔑したか?」
「…いえ。私だけじゃないんだろうなとは思ってました」

私に手を差し伸べて今の生活を与えてくれたのは彼の優しさだ。きっと、優しい彼は私以外にも同じように救いの手を差し伸べているに違いない。
自分だけだと一瞬でも浮かれたのがバカだった。独占されて束縛されて…今思えばそれほどまでに価値がある人間じゃないや。ペットが他の人間に懐くのが気に入らなかった、その程度のことだろう。

「なんて、俺がそこまで器用に見えるか?」
「……?」
「さっき家に来てたのはブルマ。店の責任者」
「…責任者?」
「ああ。面倒だからしばらく連絡を無視していたら家まで来た」
「無視してたんですか…」

ということは…恋人ではない、?疑問に思っていたことが表情に出ていたらしく、おかしく笑ったゴジータさんに「ただの仕事だ」と宥められた。
それはそうとしても思い浮かぶ人物は他にもいるわけで。仲良さげにお話ししてるお客さんも何人か見かけるし、時には手なんか握られてることだって…。

「なまえ」
「…?は、はい、」
「俺を不安にさせた罰だ」
「ッ!?」

肩口に噛み付くような勢いで歯を立てられる。実際には加減してくれているのでほんの少しピリッとしただけで歯型が残ることもなさそうだけれど不意を突かれると驚くものだ。

「俺も少し妬かせたい」

“俺も”という言葉を聞いてすぐに頭に思い浮かべたのはキラキラとした年下の彼の顔だった。

ゴジータさんはゴテンクスくんに嫉妬してるんだと思う。



20190913



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