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□ベジット→悟空→バーダック→ゴジータ
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- ベジット -

さて、どうしたものか。アラームで目を覚まして慌てて起き上がろうとしたが、今日が休日だったことに気がついた。平日と同じようにアラームを設定して寝てしまったのだ。習慣って恐ろしい。

それよりも気にするところはそこじゃない。どうして彼が隣で寝ているのか、だ。もちろん一緒に寝た記憶などない。一緒に住んでいるわけでもない。いつの間に自分の布団に潜り込んで来たのだろうか。

「ちょっとベジット」

声を掛けるも返答はない。規則正しい寝息が聞こえ、少年のように可愛らしい顔をして寝ている。いつもの悪い顔が嘘みたいだ。

「ベジットさーん」

耳元で小さく囁いて頬を撫でるとパチリと鋭い目が私を見つめた。あ、起きた。もしや寝起きが悪いだろうか。

「おはよう」
「んー」
「ねえ、なんで私のベッドで寝てるの?」
「寝たら悪いか?」
「いつ来たの」
「夜中。くっついても起きねえからそのまま寝ようと思って」

そうですか。そうなんですね。ベジットの気紛れに振り回されるほうも堪ったもんじゃない。どうせ来るなら事前に連絡のひとつぐらい寄越して欲しいものだ。

「さ、出掛ける準備でもするか」
「どこか行くの?」
「んー?デート」
「ちょっと、彼女のベッドで寝といてほいほい他の人とデート?信じらんない」
「はぁ?お前とに決まってんだろ。はやく準備しないと置いてくぞ」
「え、待って、先に言っといてよ!」
「いいからはやくしろよな」

掛け布団を引っぺがして伸びをするベジットに思わず溜め息をついた。事前に誘ってくれたらもっとお洒落できたのに、なーんて女の子らしいことを考えながらベッドから下りると何やら発明品でも思いついたような表情の彼に前方を塞がれた。

「なに」
「忘れもん」
「だからなに」
「おはようのアレ」

クスりと笑った彼がわざとらしいリップ音を立てながら口の端に控えめなキスをした。おはようのアレ…ね。

呆れながら彼を見上げたあと、横を潜り抜けるように寝室を出た。はぁー…。朝から心臓に悪い。



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