本編
□4話
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日下、桐原が明岩グラウンドに目指している頃、
指宿「っ!!」シュッ
指宿は早めに戻り、投げ込みをしていた
指宿「ハア…ハア……もう十球!」
戸塚「…まだ投げるのか?」
指宿「もちろん…!今日は投げなかったし、秋に向けて練習しないと…!」
結局、今回の大会で指宿が投げることは無かった
監督がいないため、スタメンは先輩達が決めており、
そのため指宿には今回出番がなく、何ならスタンドから見守っていたのだ
戸塚「…そもそも、お前が投げなかった自体おかしい。誰がどう見ても贔屓がある」
指宿「そ、そんなことないよ!投げた先輩達の方がコントロールも良いし、変化球も多いし…」
戸塚「あんな置きにいった球ならコントロールが良いのは当然だろ。それに変化球も落ちも曲がりもしないただの棒球…あんなの試合では使えない…現に今日だってボロボロに打たれてたじゃねぇか」
指宿「そ、そうだったかな…?」
戸塚「……指宿、まわりを庇うのはもう止めろ」
指宿「っ…」
戸塚「…アイツらに変わってもらいたいお前の気持ちはわかる…だが、そう思ってもう一年、お前が何を言っても変わらなかったんだ。そんな奴らがすぐに変わるとは思わない。お人好しを利用して付け込んでくる奴らだ、真剣に野球をするはずがない」
指宿「で、でも…」
戸塚「……何より、一番頑張っているお前が評価されないのが俺は許せない」
普段はあまり感情を出さない戸塚だが、今回は珍しく苛立ちを隠せてなかった
そのくらい他の部員の指宿に対する態度が気にくわないのだ
戸塚「誰よりも朝早くから来て、誰よりも遅く練習している…そんなお前が評価されず、先輩に媚を売っている同級生が試合に出ている…そんな奴らの何を信じられるんだ」
指宿「……」
戸塚「…よほどの『奇跡』が起きないと…今のままだと変わらない」
それだけ言うと、戸塚は背を向け去っていった
そして残された指宿はというと、再び練習へと戻る
指宿「(戸塚のいうことはわかる…でも、俺が不甲斐ないのもあるはずだ…もっと、俺に実力があれば…)」