本編
□3話
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そしてその次の日、
テストもようやく本日をもって終わり、
いよいよ学校全体の意識が夏休みに向うとしている中、
日下「あ…」
堂上「よぉ、昨日ぶりだな」
堂上と日下がお互いに教室から出たタイミングで遭遇したようだ
日下「(隣のクラスだったのか…それで見たことがあったわけね)」
堂上「お、これから練習か??」
日下「…ああ、そうだ」
堂上「大会も近いんだし、あんまハードワークすんじゃねーぞ。投手陣の投げ込みは調整程度で、野手陣は素振りに…メインは守備練習で…」
日下「…アドバイスは有難いが、一年の俺に言うのは間違ってるぞ。練習メニュー決めるのは先輩達で…」
堂上「はぁ?別に練習メニューを提案するくらい誰がしても良いだろ。監督…という人もいないんだろ?」
堂上の言う通り、明岩高校には顧問こそはいるが、野球経験はまったく無く、
練習メニューや試合でのサインなどはすべて先輩達が出していた
しかし、その先輩達も決して采配が出来るわけもなく…
さらに練習も出来ていないため、勝てるはずがないのは誰が見ても明らかだった
日下「(言い訳にはなるが、こんな状態で試合に臨んでも無駄だしな…)」
正直に言えば、日下もチームに対して言いたいことは山ほどある
ただ、入部して間もない頃、
同じように不満を持ったチームメイトが先輩に文句を言った事があった
それに対して不快に思った先輩達はその部員を無視する、物を隠すなど、
嫌がらせを行い、部から追い出した事があった
それ以来、他の部員達は見て見ぬフリをしたり、中には便乗したりなど、
現在ではまともに野球が出来る環境ではない
堂上「…おーい、聞いてんのか??練習は軽めに…」
日下「…何も知らねぇくせに」ボソッ
堂上「あ?何か言ったか??」
日下「……別に何でもない、まあ参考にさせてもらうよ。えーと…」
堂上「ああ、自己紹介してなかったな。堂上大樹だ、よろしくな」
日下「(堂上…?)…日下志朗、よろしく…じゃあまたな」スタスタ
堂上「おお、試合楽しみにしてるぜ」
堂上との話が終わり部活に向かう中、
日下「(堂上?…どこかで聞いた事が…まあ今は良い、それより試合に集中しないと…)」
こうして明岩高校は夏の大会に臨むのであった