本編
□3話
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試合が終わり、片付けをしグラウンドから球場裏に出ていた
夏大会で負けるイコール3年生は引退、
「くそっ…」ポロポロ
「来年は勝てよ…」グスッ
皆が泣き崩れたりするところだが…
「今年も初戦で負けちまったな〜」
「仕方ねぇよ、相手はベスト16常連校だし」
多くの2年生達は負けたにも関わらず、相変わらずの対応であった
伊部「おい、今はそんなこと言うところじゃないだろ…」ギロッ
「へいへーい」
「あーこわいこわい」
日下「(コイツら…本当のクズだな…)」
このチームはあまりにも酷い状況だ
正直、この段階で日下は野球部を辞めようと思っていた
日下「(…自由に出来る高校であればどこでも良いと思っていたが、こんなひどい環境でしても意味がねぇ。それなら辞めて違う道も…)」
しかし、そう思ったのも束の間であった
何故ならば…
桐原「くそぉおお…負けちまったぁああ…!!」ダンッ
横にいる桐原があまりにも泣いており、それどころではなかった
日下「……そんなに泣かなくても良いだろ」
桐原「だって…負けちまったんだぞ…悔しいじゃんか…!!……秋こそは優勝してやる…!!日下!帰ってさっそく猛特訓だ!!」グスッ
日下「(コイツ…)」
こんな最悪な環境下でも挫けることなく、
一人この敗戦に対し号泣し、本気で悔しがり、次に向けて踏み出そうとしている
日下「(『馬鹿』という言葉で片付けるのは簡単だ…でもコイツは違う、『真剣』なんだ。環境を言い訳にしない…)」
そんな桐原を見て、簡単に諦め、逃げようとした自分が情けなくなった
桐原「……何だよ、ジロジロ見て…」
日下「何でもない……わかったよ、試合後だから軽めにな」
桐原「おう!」ニッ
日下「(このチームのために頑張ろうとは思わない…でも、こういう馬鹿がまだいるなら付き合ってみるのもアリだな…)」フッ
『もう少しだけ頑張ってみよう』
そう思い、日下は桐原と共に明岩グラウンドに戻るのであった