道化師と少女

□約束のキス
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清々しく晴れたある日。小さな野の花たちが沢山咲いている野原で、道化師と少女が仲良く花を摘んで遊んでいた。
「ペニー、見て見て。」
少女の手には、シロツメクサで編まれた可憐な花冠が。
「おお!凄いねえ。上手に作れたじゃないか。」
「えへへ…。」
「エリは器用なんだな。凄い凄い。」
ペニーワイズがエリの頭を撫で撫でして褒めると、エリはくすぐったそうな顔をした。
「そうだ!ちょっとそれを貸して御覧。」
エリが素直に花冠をペニーワイズに渡すと、ペニーワイズはくるりと背を向けて、何かゴソゴソとやった。そんな彼の様子をエリは怪訝に思いながらじっと見つめていると……。
「よし、出来た!」
ペニーワイズはエリの方にくるりと向き直った。
「ペニー、一体何していたの?」
「フフフ…。これをよく見て御覧。」
ペニーワイズの言う通りに花冠を見てみると、何と、白い花だけで編まれていた花冠に四つ葉のクロ−バーが一つ付けられていた。
「わあ…!素敵。」
「だろう?着けてあげようか。」
ペニーワイズはエリの頭に花冠をぽんっと載せてあげた。
「うん!やっぱりエリにはお花がよく似合うね。」
「ペニー…。」
「可愛いよ、エリ。」
そう言って優しく微笑むペニーワイズに、エリは恥ずかしそうに頬を赤らめ、花冠にそっと手を遣った。
「あっ、そうだ。もう一つプレゼントがあった。」
ちょっと手を貸して、とエリの左手を手に取るペニーワイズ。
「何するの?」
「フフ、ちょっと目を瞑ってて。」
「うん…?」
エリは、何するんだろうと思いながらペニーワイズの言う通りに目を瞑ると、ペニーワイズの大きな手が自分の手をそっと包み、指に何かを着けるような感触がした。
「はい、良いよ。目を開けても。」
エリはパチッと目を開けると、左手の薬指にはシロツメクサの指輪が着けられていた。
「わあ、可愛い…!」
「よく似合ってるよ、エリ。とても可愛い。お姫様みたいだよ。」
「お姫様…。」
エリは頬を桜色に染め、恥ずかしそうに目を伏せた。そんな彼女にペニーワイズは愛おしそうに目を細め、彼女の頬を優しく撫でてあげた。
「ペニー、私からもプレゼント…。」
「ん?私にもくれるのかい?」
「うん。ちょっと目を瞑ってくれる?」
ペニーワイズはエリの言う通りに目を瞑ると、自分の左手にエリの小さな手が触れられ、指に何かを着けられるような感触がした。
「はい、良いよ。目を開けて。」
ペニーワイズはパチッと目を開けると、左手の薬指には、たんぽぽの指輪が着けられていた。
「わあ!!たんぽぽの指輪かい!?嬉しいな、有難う!」
嬉しそうに微笑むペニーワイズに、エリは照れ臭そうにもじもじしながらも小さく微笑んだ。
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