短編

□過去と未来 〜麻衣との出会い〜
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七瀬side

雨の中傘もささずにただただぼーっと歩いてた
雨の冷たさなんて分からないし頬を流れてるのは雨なのか涙なのかも何もかも分からなかった

すると急に雨が止んだ

白「大丈夫ですか?」

あぁ、この人が傘さしてくれたのか
ななと関わっても何もいいことないんやけどな

何も話さないななに埒が明かないと思ったのか

白「うち、近くだから」

もう、どうにでもなれ
そんな気持ちでこの女の人について行った
いや、手を引かれて連れて行かれた

「とりあえずシャワー浴びて、風邪ひくから」
西「……」
「もう、自分で出来ないの?
私が脱がせてあげよーか笑」
西「じ、自分ででき、ます」
「ふふ笑
それじゃ、あったまっておいで(ぽんぽん)」

人の優しさに触れたのはいつぶりだろう
中学生の時に親が離婚して、ななはお母さん飛鳥はお父さんに引き取られた。
たぶん、その時以来……

まだ顔も見ていないけど少しキツめの口調の中に優しさがある、どんな人なんやろう
シャワーを浴びて体を温めながらぼーっと考えてた

お風呂に入れてもらったけど
着替え無いなぁなんて考えながら上がったら
バスタオルと着替えが
綺麗にたたまれて台の上に置かれていた

「……いい匂い」

頭や体を拭くと香ってくる優しい匂い
すごい落ち着くなぁ


ガチャ
西「シャワーありがとうございました」

ソファーに座って携帯をしているのか下を向いている名前を知らない人に声をかけた

「あ、ちゃんと温まった?」

うわ、綺麗な人
こっちまで歩いてきてほっぺたや手とか触りながら
んー、大丈夫そうだねって笑顔で言われた

西「っ///」

あかん。こんな美人を近くで見たことないし
まず、人と接するのも久しぶりやからどうしていいかわからん

「おいで」

手を引かれて連れていかれたのはふかふかのソファーやった

何かされるんかな?
少しどきどきしながらお風呂場の方に消えた女の人を待ってるとドライヤーを持って部屋に入ってきた

「髪の毛乾かさないと風邪ひいちゃう」
西「あ、ごめんなさい」
「…。私、白石麻衣あなたは?」
西「にしの、ななせです」
白「七瀬ちゃんね、んじゃ髪の毛乾かすから
熱かったら教えて?」

…あかん。これ寝てしまう。
頑張って目を開けようとするけど麻衣さんの優しい手つきと暖かい風で睡魔が……。

白「終わり!」
西「あ、りがとう、ございます」
白「どーいたしまして!ふふ笑
もう目開いてないし笑」

眠過ぎて目は開けられへんけど意識はまだ起きてる

白「ベッド1つしかないんだよな
七瀬ちゃんをベッドに寝せて私はここかな!」

あかん、色々お世話になっとるのに麻衣さんをソファーに寝せるなんて

西「なな、が、ここでねます」
白「あっはっは笑 いいよいいよ笑
気にしないで」
西「ダメです」

なんとか麻衣さんをここで寝せないようにソファーに横になって寝る体制を整えると

白「もう、わかったから
じゃあ、一緒に寝よ?
そしたらいいでしょ?」

もう、眠過ぎて思考が停止したななの頭では麻衣さんがソファーで寝らんなら何でもよかった

西「はい」

はいなんて言ってななはもう動く気はなかった
それに半分夢の中やったし

なんか、ふわふわする
これが最後の記憶やった

後から聞いた話によるとななが起きる気がないと思った麻衣さんがお姫様抱っこでベッドまで運んでくれたらしい

もちろん、朝起きてその話を聞いて全力で謝ったけど

白「七瀬軽すぎだよ?
ちゃんと食べなきゃ、ご飯出来てるから食べよ」

って、優しすぎる麻衣さんやった



これがまいやんとの出会い
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