中編

□運動神経 6
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試合は順調に負け無し、相手には無得点で勝ち進んできた。あとは決勝戦だけ。ここまでの麻衣さんの記録は、アシスト3、ゴール4、ブロック3の合計10。あと1試合で5個何かしらしないといけない。むしろ、ここまでで10も記録を残したのがすごい。
麻衣さん、笑顔で終わりましょうね。

桜「ついにここまで来たね
今から決勝戦です! 準備はいい?
あと、1時間後みんなで笑いましょう!
ベマーーズ! ファイッ!」

白「七瀬、ちょっといい?」
西「なんですか??」
白「昨日の約束覚えてる?」
西「うん」
白「そっか。 なら、ちゃんと見ててね。
ラスト笑顔で終わらせるよ!」

麻衣さんの顔は気合が入ってた。アルテの時になるとすんごいかっこええ。私はこういうところにも惚れたんだ。

深「試合を始めてください!」

アルティメットに審判はいない。選手自身でセルフジャッチをする。タイムや得点はマネージャーの役目。記録用紙もマネージャーが書く。麻衣さんのとこにチェックがつくたびに私は喜こんでいた。

今の得点は6:5でベマーズが1アップ。7点目を先にとった方が勝ちだから、油断出来ない。今からのターンはベマーズの攻撃から始まる。みんな動きが硬い。それを見かねて、玲香さんがタイムアウトを取る。

桜「みんな〜動き硬いよ〜?笑
ラスト1点、これ取れば終わり!」
深「残り30秒です!」
桜「よし! 気合い入れていくよ!
ベマーズ! ファイッ!!」

私ははける時、麻衣さんの隣をすれ違った。

白「見ててね。七瀬。」

確かに聞こえた。麻衣さんを見るとこっちを見て親指を立ててきた。私はこの時、あ、勝つな。って思った。

深「タイムアウト終わりです。
試合を始めてください!」

試合が始まった。コートの中央ぐらいにディスクがある。それを持ってるのは1年生の若月。1年生でハメると決めていたのか誰もフォローに行けない。その時、麻衣さんがカットを踏んで駆け上がりをした。ディフェンスは騙されて、ついてこれてない。麻衣さんと動きがかぶった玲香さんはカットをふんでロングに走る。あの時言っていた光景。麻衣さんが一番得意なサイドロングシュートを投げる。それは綺麗に伸びてエンドゾーンで玲香さんの手の中に収まった。

西「勝った。」

その瞬間、歓声が沸き起こった。
みんな、優勝が嬉しくて泣いてる。私はみんなから抱きつかれてる麻衣さんを見ながら笑っていた。私が持っている記録用紙には、白石麻衣、トータル15と書かれていた。
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