白西

□ガソリンスタンド
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「いらっしゃいませ! こんにちは!」

綺麗な顔で顔をくしゃっとして挨拶してくれた人。その時、きっと私は一目惚れしたんやと思う。
その人はペンケースとか、なんか色々書かれた紙、ハガキみたいなのが入ったボックスを持って小部屋に入っていった。
それから、なながガソリンを入れて帰るまで外に出てくることは無かった。

また、会いたいなぁ。私は何回目かわからないため息をついた。
この前近所に新しく出来たガソリンスタンドで特売してるって聞いて入れに行ったんやけど その時に挨拶してくれた人にななは一目惚れしてしまった。

高「その人のこと何か知ってるの?」
西「何も…」

この人は高山一実。ななの親友でめっちゃ優しいんやで。

高「ならー、まずは、その人を知ることから始めよっか!」
西「どうやるん?」
高「とりあえずー、その人がいつ入ってるかを調べる!」
西「毎日ガソリンいれいくん!?」
高「違うよ〜なぁちゃん笑 そんなことしたら不審者扱いされちゃう笑
この前は木曜だったから、次は月曜に入れに行ってみよ! 」
西「週ごとに違う曜日に入れに行く、か」

今日から、計画が始まった。
毎週、違う曜日に入れに行ってやっと、その人が木曜と土曜に入ってる事がわかった。そして名前も。

高「次は白石さんと話さないとね!」
西「流石にそれは無理やない?」
高「じゃあ、今日は私も行くから一緒に話しかけてみよ!」

いつも中におるのに……無理やろ。

高「あ、すいませーん。」
ガ「はい、なんですかー?」
高「あの、ここに白石麻衣さんっていますか?」
ガ「白石ですか? いますよ!
呼びましょうか?」
高「あ、いいんですか?
お願いします! なぁちゃん!
呼んでくれるって!!」
西「ほんとに? やばいって!」

こういう時かずみんの社交性に驚く。

白「こんにちは〜。どうかしましたか?」
高「あ、白石麻衣さんですか?」
白「はい、白石です😊」
高「あの、この子が…」
西「こ、こんにちは」
白「あ、この間の! また来てくれたんですね!
ありがとうございます!」
西「あ、いえ! ななのこと覚えてるんですか?」
白「覚えてますよ!笑」
西「嬉しい…。ありがとうございます!」
白「う゛っ。」
西「どうしました?」
白「い、いえ。なんでも笑
あ、お名前! 教えて貰ってもいいですか?」
西「あ、まだ言ってなかったですっけ?笑
西野七瀬です! よろしくお願いします😊」
白「七瀬ちゃんね! よろしく!
あ、また来たら私のこと呼んで?
ブース代わってもらってすぐ行く笑」
西「ありがとうございます!」

そう言って、白石さんは『今日は割引きしときますね😆』って、7円も引いてくれたし、全部してくれた!
優しすぎて、もっともっと好きになった。

あ、あの時かずみんは気を使ってくれて先に車の中に戻ってた。

西「ごめんな、かずみん」
高「いいっていいって!
それより、白石さんも覚えてくれてたしよかったじゃん!」
西「ほんまそれやねん! めっちゃ嬉しかった😆」
高「次からはひとりで行けるね!」
西「うん! ほんとありがとな!!」
高「どういたしまして😊」

それからななは毎週白石さんがいるガソスタに入れに行った。その度にまいやん(白石さんじゃ距離感じるからまいやんって呼んでって言われた)が外に出てきてくれて、割引きして入れてくれた。そんなある日

西「すいませーん」

こう言えば顔なじみになったこのスタンドの人達はまいやんを呼んでくれるんだけど、今日は知らない子が来た。

ガ「どうされました? って、君めっちゃ可愛い!
彼氏いますか? このあと空いてる?」
西「あ、あの」
ガ「あ、ごめんなさい笑
俺、松村って言います!」
西「ど、どうも」
松「あ、自分が入れましょうか?」
西「えっとー、まい…白石さんいますか?」
松「あ、まいさんはいますけど、あの人事務だから外の仕事できないんですよ!
だから、俺が入れときますね!」

そうやったんや。まいやん…。ななのためにわざわざ外に出てきてくれてたんや。
それから、なながガソリンを入れに行くと松村君が入れてくれるようになって、まいやんとは話せなくなってしまった。

松「七瀬ちゃん! 今日さ、俺もーすぐ終わるねん!
ご飯一緒に食べいかへん?」
西「え、あの……。」

ななはまいやんがいるであろうブースをみた。外からは中が見えないようにフィルムが貼ってあって様子がわからない。
松村君がいい人なのはわかるけど、ななはやっぱりまいやんが好きやから。行きたくないな。

白「はい、松村君ごめんね〜。
七瀬は私のだから😊」
西「まいやん!」
松「は、まじですか?」
白「まじまじ〜笑
松村君のせいで私の幸せな時間が奪われてたんだからね? そろそろ返して笑
ってことで、6番レーンのお客様操作方法分かってなかったから行ってあげて?」
松「……はーい」

ばいばい七瀬ちゃん。って言って松村君は6番と書かれた所へ行ってしまった。

白「七瀬。ちゃんと、嫌なら嫌って断らなきゃダメだよ? 私がいなかったらあのまま流されてたでしょ!」
西「ご、ごめん。」
白「いや〜でも、久しぶりに七瀬と話したら元気出てきたな〜このあとご飯でも行く?笑」
西「松村君と一緒やんか笑」
白「あれ? そうだっけ?笑」

笑ってたまいやんが急に真剣な表情になった。

白「七瀬をほかの人のものにしたくない。
好きだよ七瀬?
私の彼女になってください」
西「……!?」
白「もう、行かなくちゃ!
応えてくれるなら、7時に駅前の広場にきて欲しい。
それじゃあね、七瀬😊」

家に帰った私の応えはもう決まっていた。
ななのお気に入りの服を着て、少しでも可愛く見えるように化粧をする。

まいやん、ななはあの日一目見た時からあなたのことが大好きです。
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