BOOK:79 ぱろでぃ
□A只今、天使研修中 Lesson4 2/4(Mon)
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「…まぁ、楽しくやってるよ」
詳細を語る気にもならず、そう答えると
大ちゃんはギョッとしたように顔をしかめた。
「…山田って、Mなのか?
いや、でもそれとはまた違う……?」
「…え?」
「…あ、いや、なんでもない」
顔をしかめる大ちゃんに首を傾げつつ、パソコンを立ち上げる。
「あ!そういやさ、今、知念どうしてんの?」
しばらく何か考え込んだように黙っていた大ちゃんは、気を取り直したように顔を上げた。そして放ったのはそんな言葉。
「…なんで?」
「え?あ、いやぁ、別に、なーにしてんのかなぁー!ってさ!」
ハハハ!ってわかりやすい空笑い。
少しだけ大ちゃんを見てから、手元に視線を落として
「さぁね」って嘘をついた。
本当は、俺も気になって聞いたから知っている。
俺が仕事行く間、どうすんの?って。
そしたら知念は「天界に一時戻って、この時期の研修生が集まって勉強するの。」って、ファンタジーなんだか現実的なんだかわからない話をされたんだ。
何学ぶの?って聞けば、見せてくれたテキスト。
「天使業についてとかー。あと、一般教養とかね」
その細かい字に多岐にわたる内容。「大変そうだな」って心から言えば、「結構、楽しそうだよ」って本当に楽しそうにテキストをパラパラとめくるのだった。
その日の夜は、二人で寝っ転がりながら、その分厚いテキストを見て過ごして。気づけば眠って、朝、二人して大慌てしたから、そのことを忘れるわけないのに。
…なんか、大ちゃんにはそのこと言いたくなくって。
初めて知念に会った時は、あんなに大ちゃんに気持ちを共有して欲しかったのに。今は知念のこと、あんまり知らせたくないって、我ながら自分勝手だ。
「…ふーん。そっか。なーにしてんだろうな。
っま!今度、また遊び行かせてくれな!」
ポンポンって大ちゃんが肩を叩けば、タイミングを見計らったみたいに始業時間のアナウンスが流れたのだった。