BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson2 2/1(fri)
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それからも、まったりゲームをしている天使。

その横顔にふと疑問が生まれる。

…天使って風呂入んのかな?
飯は食うみたいだけど…。

つーか、誰にでも見えるんだな。
…なんか、心の綺麗な人だけ、とかじゃなくて。
あ、でも俺も大ちゃんもたまたま二人とも心が綺麗な可能性あるか。

あと、普通に触れるもんなのか?
大ちゃん普通に触ってたよな。
普通、天使をそんなベタベタと乱暴に触れるか?と疑問に思ったものだ。
こう…透けちゃって触れない!とかは無いのかな。
例えば知念からは触らないとか?

それと、今、知念の本体はどうなってんだ?
ここにいるのは、きっと知念の魂だけなんだろうけど…。
ふつふつと疑問は湧くばかり。

止まらない疑問が、自然と視線を強くしていたらしい。
「…見られてるとやり辛いんだけど。」
と、ピシャリ。ゲームから目を外さないまま言われてしまった。

「あ、ごめん。
…知念。お前って、風呂とか入るの?」

思わず謝って、まずは一つ目の疑問をぶつけてみた。
なんだかおかしな質問だけど。
これから生活するなら聞いておかなきゃいけないし。

そんな俺の質問に知念は眉間にしわを寄せ
「一般的な人間の感覚としては入るよね、普通に」
って冷たい目で冷静に返され、慌てて「いや、でもお前、天使じゃん」って言えば「あぁ、そうだった」って気の抜けた返事。

なんだよぉ。
自分でも天使なこと忘れちゃってんのか。
思わず笑ってしまえば、知念もちょっと照れたように笑っている。その笑顔にドキッて胸が音を立ててしまうのだから、本当に天使っつうのはすごい。

「でも入るんじゃ無いかなぁ?
特に言われてないけど、気分的に入りたいよね。」

その知念が、ゲームを置いてまっすぐ俺の方を見るもんだから、慌てて目をそらした。

「あ、まじで?じゃあお湯沸かそうか?」

1人ならシャワーで済ましちゃうけど、知念もいるならって思って立ち上がったのに。

「あ、待って」

パシッと腕を掴まれて、動きが止まる。

「いいよいいよ。
僕ずっとお家いただけで別に疲れてないし。
涼介、いつもシャワーだけならそれで。
あくまで、気分的に、だから。」

…二つ目の疑問もこれで解決だ。普通に触れるし、向こうから触られることもできる。
ただ、問題は知念に触られたところがジンジンと熱を持っている。これも天使の効能なのだろうか。

神は随分な特殊効果をつけたもんだ。

「あ、そう?じゃあ、入っといで。」

「うん。りょーすけ、パジャマ貸してね。
パンツはね、持ってきたの」

どこからだよ!ってまた新たな疑問が生まれたけれど。
もしかしたら天界なのかもしれないし。
…なんか、そんなファンタジーな答え返ってきたら、いよいよ俺の脳内が夢の国になってしまいそうだから聞くのはやめた。
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