BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson5 2/8(Fri)
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僕はその朝、ウキウキする心を堪えきれず、パタパタと動き回っていた。

「ね、涼介!絶対確認してきてね!」
「ハイハイ、わかったよ」
「早く帰ってきてね!」

もうわかったよって呆れたように笑って頭を叩いた涼介にもう一度だけ「絶対だよ!」って言って。
笑う涼介が「じゃあ行ってきます。」っていうのを玄関先までついていってバイバイした後は、ベランダまで出て、出勤するその後ろ姿を見送った。これは僕の日課だ。

今日は、僕が涼介の家に来て1週間目の日。一週間前の朝にここに来たんだけど。

もっとずっと前から一緒に居たみたいに、僕はこの家に馴染んでいるし、涼介との距離も近づいた。多分、それは涼介も考えているだろう。

「…さて、と。」

後ろ姿が見えなくなるまで見送った後、そそくさと部屋に戻り、座学に行く準備を進める。
丁度、涼介が会社に行っている間にしている“天使学”の研修。
1週目は、まるで学校の道徳の授業。なんかいい話読んで感動したり、基本的な教養とかを学んだりしてて。
2週目からが本格的な“天使学”になるって言っていた。

今日は、1週間目のまとめだって言っていたけど、僕としては、今週末が楽しみすぎて、まとめどころじゃないんだ。



その楽しみの理由は、2つ。

まず一つ目は、今日の夜のこと。

涼介が、僕が退屈するだろうと気を使ったのか。
はたまた、大貴が僕に調査内容を発表したいって言ったのか。
涼介が大貴も誘って飲もうって言い出した。

…もう涼介の嫌がることなんて知らなくていいって思ったから大貴に会う意味ないし、せっかく涼介とゆっくり過ごせる週末なのに…とは思ったけれど、さすがに嫌だ!とは言えなくて。

それに、涼介が嫌がること知っておけば、それを回避する努力ができるなって思って。
当初とは180度変わった自分の考えで、頷いた。

そして、思いついた名案。
すぐさま、それを叶えるべく、もう一人誘ってもいい?って質問した。
涼介が少し驚きながらも、いいよーって言ってくれたから、自分のパソコンメールアドレスを開いて、見慣れたアドレスにメールを出したんだ。
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