BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson4 2/4(Mon)
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「おはようございまーす」「おぉー!おはよう山田!」

朝から元気に周りとコミュニケーションをとる大ちゃん。
俺は正直、大ちゃん以外とはそんなに仲良くないから、さりげなさを装った挨拶をすれば、大ちゃんは輪の中心から抜け出してこっちに歩いてきた。

「どうよ、その後?」

聞かれるとは思っていたけど。
この週末、たった2日間のことを思い出して、思わず笑みがこぼれた。

「どうも、こうも…。」

土曜日、10年ぶりぐらいに遊園地に行った。
知念が行きたいって言うから行ったんだけど。
結局、お化け屋敷に入った後、俺がジェットコースターも観覧車も乗れないと察したらしく、あいつはすぐに帰ろう、って言ってくれて。

でも案外楽しかったんだよな、唯一入ったお化け屋敷も。
知念がいると、心強い…とはなんか違うけど、安心して。

あと…。
思わぬアクシデントから抱きしめたその小さな身体。
思いのほかがっしりしてんだな…とか思ってバカみたいにドキドキして、なのに心地よくって。
繋いだ手が、暖かくって。

家に帰ってからもその感触が忘れられなくて。
‘お化けが出そうで怖いから’って理由をつけて、隣で寝てもらったんだ。
…まぁ、本当に怖かったのは多少あるんだけど。

でも、今までに無いほど熟睡出来たのは間違いなく天使の効能だろう。

次の日は二人で買い物に行った。
知念がいるならちゃんと夜飯とかも作ってやろうと思って大きめのスーパーへ。
ちょっと遠方だから知念には家で待っててもいいって言ったけど、退屈だから、とついて来て。
二人であーだこーだ言いながらする買い物は、やっぱり今までに無いほど楽しかったし、帰って来てから作ってやった料理を美味しそうに食べる知念の姿はまさに天使だった。
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