BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson3 2/2(Sat)
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天使としての研修、2日目。
僕は、遊園地にいます。

そして…。

「うわっ!!!知念!知念!!!」
「…涼介、いたい」「もう離れんなよ!!」

男2人、身を寄せ合って、お化け屋敷に入っています。
涼介は、信じられない力で僕の腕を掴んでいます。
とても、痛いです。

…なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
その始まりは、ほんの3時間前にさかのぼります。
















「知念!なにしたい!?」

目の前には、目を輝かせてパンフレットを見せてくる天使…いや、人間。もとい、涼介だ。

この男、かなりの強敵で、昨日の朝から散々悪態をついているというのに、全く苛立った様子を見せない。
それどころか、僕の想像を超える神対応をしてくるもんだから、こっちも毒気を抜かれてしまう。

…このままでは僕は天使になってしまう。
それはまずい。絶対にまずい。

実は次のプロジェクトで僕は重要なポジションを任されているのだ。
日本最大手のイベント会社と連携して行われるそのプロジェクト。
まだ出来たばかりの小さなIT企業であるわが社にとって、それはまさに、社運を賭けたもので。
そんな大事なプロジェクトで、せっかく大事な役割に任命してもらったのに、ここで頓挫させるわけには絶対に行かない。

…生きたい理由が仕事って言うのは、いささか悲しいけれど。
良いんだ。僕は仕事に生きているから。

よし。
気合を入れなおして、満を持して、涼介が嫌がりそうなレジャースポットを探してみる。
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