BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson2 2/1(fri)
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天使の研修受けてるってことは、
…死ぬんだよな、きっと。
こんな素晴らしいことをして、死ぬって。
本当に…。

なんだかやりきれない気持ちで大きくため息をつく。

天使が何するのかは知らないけれど。
きっと、この1ヶ月は知念にとって、自由に過ごせる最後の1ヶ月なんだろう。そういうことなら、このわがまま放題も頷ける。

…だったら。
出来るだけ、たくさん良い思い出を作ってやりたい。
これは何かの縁なんだし。
少なくともこの1ヶ月は俺は知念にとって相棒なんだろうから。

心置きなく、天使業に専念するためにも、俺は出来るだけ知念がこの世でやり残したことを手伝ってやろう。

そう思ってしまうのは、人間として普通の感情だと思うんだ。

「…まぁ。」

そういうことなら、楽しんでもいいじゃないか。
人助け…じゃないか。
天使助けだと思って俺の1ヶ月間ぐらいは、献上してやろう。

もしかしたら、知念が本当の天使になってからいいことあるかもしれないし。研修のお礼って。


よしっ。
そうなれば、風呂から上がった知念にやりたいことを聞こう。
取り急ぎ、明日からの休みになにか行きたいところはないかを聞いて。欲しいもの、食べたいものも聞かなきゃな。

今日一日だけでも、ゲームは楽しそうにやっていたし、カレーも美味そうに食っていた。
…あとは、大ちゃんのピーナッツもムシャムシャ食べてたけど、あれはどうかな?酒とか、飲めんのかな。

近くのレジャースポットでも調べようと、開いたパソコン。
真っ暗な画面に映った自分の顔が今までにないほど、ウキウキと輝いているのを見て、苦笑した。

…やってやろうじゃねぇか、天使のやつ。
俺が、世界一幸せなを1ヶ月間を送らせてやろうじゃないか。


「…涼介、お風呂空いたよ〜
…って、なにその顔。気持ち悪い」

「…覚悟しとけよ、知念。」

「…はい?」

お前を世界一幸せな天使にしてやる。

そんなことを神に誓いながら、俺は風呂に向かった。

もしかしたら、本当は。
知念に世話を焼く理由が欲しかっただけかもしれないけど。

この際、どっちでもいい。

とにかく俺は、これから始まる毎日に、期待で胸が踊っていた。


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