BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson2 2/1(fri)
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「もう!急に人、呼ばないでよー!びっくりしたじゃん!」

パタンとドアが閉まるなり知念はそんな不服を口にする。

「なっ…。」

何で俺が!って一瞬思ったけど、知念は別に自分の意思でここに送り込まれたわけじゃないし。
そしたら共同生活者として連絡してやるべきだったな。

「そうだな、ごめん。」

あ、でも連絡手段ないよな。
家に電話ないし。
あぁ、パソコンにメールすれば良いか。

これからは気をつけよう、なんて考えていれば。

「…ほんっと涼介って……」

素直に謝ったのに、知念は浮かない表情。
ため息までつかれてしまった。

「……なんだよ」

「…なんでもないよ」

不服そうな顔にイラッとするのだけど、それ以上に…。

「…そういや、さっきの例の件ってなに?」

大ちゃんと交わしていた言葉が気になる。

ソファに我が物顔で座る知念の隣に腰かけながらさり気なさを装って聞いてみた。
まぁ、大概、俺がいない間に話していたんだろうけど。

んで、多分聞いても。

「…べつにぃ」

…想像通り、全く相手にされないけどさ。

ため息をつきそうになるのを堪えて、勝手に俺のスマホでゲームをしている知念に視線を寄せる。

こいつは、本当に天使の研修をする気があるのだろうか。
「色々お手伝いする」って言ってたけど、今のところ俺が知念の面倒全部見てるよな。

…これのどこが天使なんだ。

「ね、涼介、ここどうするの?」
「え?どこ?」

そのくせ。
全く腹が立たない。

それどころか……
「あぁ、それは、ここをこうして…」
「あ!本当だ!すごい!涼介天才!」
妙な幸福感すら覚えているのは、もしかしたら天使の効能なのだろうか。向けられた笑顔に簡単にこっちも顔がほころんでしまった。
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