BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 prologue
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「…りょーすけー」

どこかから聞こえた心地よい声に、呼応するように寝返りを打った。

「…ねぇ、りょーすけー。早く起きてよ」

追いかけてくる声はしつこくて。

「…んんん………」

目覚ましの要領で手を伸ばして、思いっきり声の方を叩いた。
すると。
「ッイタ!!ちょっ!なにすんの!!!」
何かフワッとした。
それこそ、人の頭みたいな何かにクリーンヒット。

声はさらに大きくなってしまった。

「ね!涼介!早く起きてよ!!時間なくなっちゃうから!!」

「んんんん…」

少し離れた位置からの声。
もう手は届かなくて、仕方なく目を開いた。

「…あ!起きた!おはよう〜」

目を開いた先にいたのは、
天使のように可愛い、男の子で。

「…あ、おはよう」

思わずそう言ってしまうと、なにやら満足したように笑って。
その笑顔があまりに可愛いもんだから、あぁ、朝からいい日だなぁって思っ……ん?















「っお前!誰だよ!?」

飛び起きて、距離を置く。
なんてことだ、枕元に立つその男。

俺は全く見覚えがない。

どういうことだ!?
昨日、別に飲みに行ってもないから、どっかでお持ち帰りしたわけでもないだろう?

じゃあ誰だ!?
つうか、何で家の中に!?
っあ、家の鍵開いてて…?

「鍵はバッチリかかってたよ、安心して」

「あぁ、じゃあ、よかった…。

……って違う!よくない!より良くない!!」

「あははー!すごいノリツッコミだ!」

上手だねーって天使のような微笑みを浮かべるそいつ、
ーーー知念が、それから、パニクる俺にしてくれた話は、
本当、にわかには信じがたい話で。

俺は混乱する頭のまま、出社することになる。
これからが寒さの本番になる2月の最初の日が、
今にも雪が降り出しそうなほど、寒いってことに気づかないほどにね。


こうして俺の、
悪魔みたいな天使との1ヶ月間が幕を開けたーーーー


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