BOOK:79 りある
□★恋を始めた日
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その日の朝。
俺の機嫌は最悪だった。
それは、
今にも雨が降り出しそうな空だとか、
いつもよりも寒い朝とかは関係なくて。
全ては昨日。
放課後に見てしまった光景が原因だ。
「これ!あの…誰よりも先に渡したくて…」
そう言って手渡されたのはド派手なショッキングピンクで包まれた小さな箱。
「…えっと……」
誰よりも先に?この包みを渡すのが流行ってんのか?なんかのまじない?
なんて考えていれば、頬を赤く染めたその子はやけにはっきり「明日、バレンタイン!」といった。