BOOK:79 りある
□☆君離れ
14ページ/14ページ
「…なんだよ、それー。」
そんなこと言いながらも緩んだ俺の顔。
知念にはきっとすべてお見通しなんだろうな。
「当然のこと聞かないでよー」
なんて可愛い笑顔が返ってきて、またギュッと抱きしめて目いっぱいその香りを吸い込んだ。
知念はちゃんとここにいる。これからも、ずっとね。
「だから、そのための第一歩。後輩とも仲良くできるんだよーって。
まぁ、実際健人といると楽しいしね。」
「おいコラ。」
「涼介も今度一緒にご飯行こうよー」
健人楽しい発言は、非常に余計だけど。そういうことなら仕方ない。
知念が今後も仕事をしていくために、それが必要なら甘んじて受け入れようではないか。
俺だって、役者としての知念をこれからもっと見ていきたいし。
多少の「涼介離れ」は仕方ないって、受け入れようじゃないか。
知念が大好きな仕事をずっと続けていくためならね。
ーーーーーーーーーー
「そろそろ、涼介離れの時期、ですかね……。」
これまでも取材してくれて、そのべったり具合を知っているそのインタビュアーは驚いたように
「寂しくないの?」と聞いた。
俺はそれこそ、満面の笑みで答えてやった
「いや、寂しさは…ないですよ…(笑)」
だってプライベートでは、一生俺が知念のこと甘やかさなきゃいけないんだからね。
Fin.