BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 After Lesson
8ページ/10ページ



あの時渡した引継書通りにしっかり準備してくれてたゆーてぃーのお陰で、プロジェクトの準備は大きな支障なく進んでいて。
僕の抜群の身体能力で全治1ヶ月の怪我も3月中旬には治ってしまった。さすがは僕だ。

桜の蕾が膨らんで、ちらほらと開花宣言がされる中。
そうして僕は、長かった“研修休み”を終えた。









「…よし。」

ひさびさに腕を通したスーツ。
僕の会社は普段着だから、なんだか特別な感じがするけど、これからは、この準備が当たり前になるのか。
…なんだか実感わかないな。

今日から1年間、僕やゆーてぃーをはじめとしたプロジェクトメンバーは、涼介と大貴のいる会社の中でプロジェクトを進めていく。

大きなプロジェクトだから、どこまで涼介と近いポジションになれるかはわからない。

涼介は、また僕を好きになってくれるかな?
ただのプロジェクトメンバーの1人な僕を。

……いや。
好きになってもらえるように頑張らなきゃいけないね。

涼介以上の人なんて、この世にもあの世にもいないんだから。
僕が言うんだから、これは絶対でしょ?

それで、もしも。
もう一度、望むような関係になれたら。
その時は、たくさん写真を撮ろう。
忘れられない思い出、たくさん作ろう。

時には、怒らせることもあるかもしれないけど。
それ以上に沢山の楽しいをあげるから。
もう2度と、その感情が消え去らないように。
ずっとそばに居てあげるから。

ねぇ、涼介。

だからお願い。
どうかもう一度だけ、僕を好きになってよ。


4月1日。
そんな願いを込めて、僕は、扉を開けた。


















それからのこと。
……本当は、愚痴になっちゃうから嫌なんだけどね。


……ちょっとだけ、お話しするなら。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ