BOOK:79 ぱろでぃ
□A只今、天使研修中 After Lesson
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僕が頑張っていたプロジェクト。
涼介は、先方のプロジェクトメンバーの1人だったんだ。
頑張っていた先に、涼介がいたんだって思ったら、どうにも涙が止まらない。
プロジェクトが始まるのは4月、あと1ヶ月だ。
それまでにリハビリ頑張って、完全復帰して……。
「あ、でも、僕もう、プロジェクトメンバー外れてる…?」
ハタと、動きを止めれば、ゆーてぃーは、やっぱりニッコリ笑った。
「外すわけないじゃん。
こんな分厚い引継書まで作っちゃうような熱心な人。」
これは、後で知ったことだけど。
ゆーてぃーが会社で話をしてくれていて、僕はプロジェクトメンバーにずっと加わったままだったという。
「“知念は絶対帰ってきます!知念をプロジェクトメンバーから外したら絶対後悔しますから!”ってすげぇ迫力だったんだよ、あいつ。」リーダーは笑いながら教えてくれた。
「おかえり。待ちくたびれたぞ」なんて言葉とともに。
僕が目を覚ました1週間後。
お見舞いに来てくれた大貴は、ゆーてぃーと同じように、大泣きした。それにまた、ゆーてぃーも泣きだすから僕は大変で。
そして教えてくれた、最近の涼介。
「魂抜けて、本当、ロボットだよ」
苦笑いの大貴に、胸が痛む。涼介に苦しい思いさせてるんだ……って。
「あ、でも。」
一刻も早く会いたいって思いが膨らむ僕に、大貴は不思議そうに続ける。
「なんか、サボテン?あの、旅行の時に買ったやつだっけ?
あれ見てる時は笑ってた。
朝起きたらさー、サボテンに話しかけて笑ってんだよ!狂気だったぜ」
ゆーてぃーは「えー、それは怖いね」なんて言ってるけど、僕の方は息が詰まって、なにも言えない。
……大事にしてくれてるんだ。
「…早く、会いたいなぁ」
涼介が僕のことを忘れているのはわかってるけど。
また1から恋を始められるなら、それはそれで楽しみで。
「リハビリ頑張って、会社行って。
そしたらすぐだよ」
「うん、頑張るよ」
「っお!やけに素直だなぁ〜」
笑ってくれたゆーてぃーと、頭をわしゃわしゃと撫でてくれた大貴。
その暖かい空気に心はポカポカと温まった。