BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 After Lesson
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つけられたテレビ。
その日付は3/1。
外はまだ寒そうだけど、本当に?

あれ?天使研修のことは…?あれは、夢?


まだうまく動かない頭に身体。
大混乱しながらその日は一日さまざまな検査を受けて、幸いにも足の骨折だけで、脳に異常がないことがわかった。

……いや、多分めちゃくちゃ異常あると思うんだけど…。
でもお医者さんに“天使になりそうだったんですけど!”って言ったら、今度は別の症状で入院になっちゃうそうだし。


……どうしたもんかなぁ…。
なんて思いながら剥いてもらったリンゴを食べていれば「知念!!!!!」って大きな声とともにドアが開いた。


「っあ、ゆーてぃー!」
そうだ!ゆーてぃーに聞けばいいじゃないか!
僕の幻想かもしれない天使研修にもゆーてぃーは登場していたから。

「おはよう!あのさ…」「おは、よ、う……」

食べていたりんごを置いて、むくりと体を起こす。意気揚々と声をかけようとした僕を見るなり、ボロボロ泣きだしたゆーてぃー。

……ありゃりゃ。
天使研修のこと聞きたかったのになぁ。

なんて思いながらも、ワンワン泣くゆーてぃーに笑ってしまった。

…あの時。
幻だったかもしれないけど、あの時には、泣かなかったゆーてぃーが泣いてる。

なんだか、それが何よりも生き返った証拠な気がして。
「…ゆーてぃー目が赤くなっちゃうよー!ほら、りんご食べる?うさぎさん」
そうやって茶化していないと僕も泣いてしまいそうだったんだ。
















「……じゃあ、やっぱり。あれは、俺の夢じゃないんだ」
「僕の夢でもないみたいだね。」
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