BOOK:79 りある

□★僕のお気に入り
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涼介が息を飲んだような気がしたけど。
か細い声は、届いただろうか。

ちゃんと、大好きな君に。

不安になってもう一度、今度ははっきりと、目を見て言った。

「大好き」

真っ直ぐに、
伝わりますようにって思いを乗せて。

「…お前……」

すると、視線の先の涼介の顔は、真っ赤に染まって。

「…涼介、顔真っ赤」

思わず口に出せば、「お前なぁ!」って怒ったような声がした。


おかしくって、愛しくって。
ニッコリ笑ってやっぱり思いっきり抱きつく。


「かーわいい!」「…はっ!お前!」



かっこいいのに、可愛くて。
努力する才能が誰よりもある。
いつまでも挑戦者で。
人一倍真面目で、だけど誰よりもエンターテイナー。

そんなところを尊敬しているし、
そんな涼介だから好きになったんだよ。



…嫌がらないって。
それって、期待しちゃってもいいのかな?



今すぐに、は無理だとしても。
いつかは…って。そんな風に。







いつもよりもちょっと熱い気がするその体温を目をつぶって堪能していれば。



「…知念。」なんて、甘い声。



顔を上げると、優しい笑顔の涼介がいる。
その表情一つで、また胸がキュって音を立てた。



…あぁ、ほらまた。
大好きが大きくなった。


僕が一番好きなまっすぐ僕を見るその表情。
真っ直ぐにその目をみれば落とされた言葉。





「……ごめん、もうちょっと、待てる?」



伺うような、少し不安に揺れている。
涼介らしくない、その様子に、少し怖くなった。



…それは。

待って、の先にあるのは、僕の考えているのと同じ意味?



涼介のことならなんでもわかるって。
そう思っていたのに、今はわからなくて怖い。



なんて返せばいいのかわからなくって、思わず目をそらしそうになった時。

焦ったように繋げられた言葉。

「いや、違うや。

…待ってて、ちゃんと。
俺のこと…俺だけ見てて。

絶対、他のやつのところになんて行かないで。

…ちゃんと、一生一緒に居られるための、準備の時間をちょうだい」


真剣な目に、ゴクリと息を飲む。

「…それって……」
「…多分、そう言う意味。」

ちょっと困ったように眉を下げた涼介は、照れたように目をそらして続けた。

「俺…多分、今、知念が手に入ったらもう何も頑張れなくなっちゃうから。」

その横顔に胸がぎゅーって痛くなって。

「だから、俺のこと待ってて。
ちゃんと迎えに行くから。」

全部わかっているみたいに微笑んだその姿に、ドキドキが大きくなりすぎて。

息を吸うことさえ忘れてしまいそうだ。
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