BOOK:79 ぱろでぃ

□A只今、天使研修中 Lesson4 2/4(Mon)
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「ちねんー?」

さっき知念のこと軽くスルーしたくせに、自分がないがしろにされて、先に寝られてたら嫌だって。
あまりに自己中すぎるな、とは思うんだけど。

やっぱり寂しくて、その姿を探せば「なにー?」ってひょっこりベランダから顔を出した知念。
「…何やってんの?」
寒さ本番の2月。こんな夜にどうしてって問えば「日光浴」って絶対、嘘な答えが返ってきて笑った。
「お日様出てます?」って言いながら隣に並ぶと「出てませんねぇ」って夜空を見上げる知念。

…ほんと、こいつは。

思わず笑うと、コテンとその頭が肩に乗った。
心地よい温度と重さ。
「でも、月は出てるよ」って優しい声。
隣に居れば、それだけで心はふんわりと優しい温度に包まれる。

それは、まるで魔法のように。
もしかしたら、天使だから出来る技?

「りょうすけー。」「ん?」
「ふふふ、なんでもない」「なんだよそれ」

そんな言葉にもやもやも霧が晴れるように消えていって。
ふんわり笑ってしまうのは、やっぱり天使だから…?

…いや。違うな。
多分、知念だから出来る技。


この3日間で分かったこと。
わがまま放題、甘え放題だけど、人が嫌がるラインをわかってて、絶対にそこは超えてこない。
案外大人で周りのこともよく見ている。
何事もポジティブにとらえる。
あと、笑顔が最高に可愛い。

大ちゃんは、初めて会った時点でその魅力に気づいて。
だからまた会いたいってそう思っているのかな。
大ちゃんは俺よりよっぽど人と打ち解けることに長けているから。
もしかしたら、知念も、そんな大ちゃんに学びたい、とか?
天使の研修として。

だったら。
それを邪魔しちゃだめだよな。

知念が、立派な天使になるために。
そもそもそのために、俺との1か月は存在しているんだから。

「ね、知念。」「んー?」
「今度さ、また大ちゃんも誘って飲もうか。」
「へ?」

なんで大貴も?って聞いた知念に「なんとなく」って返した。
理由を説明するのは…あまりに辛いから。
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