BOOK:79 りある

□☆代わりは俺だけ
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まずい、まずいと思いながらも、どう切り出せば分からず。

前室まで行っても何も言えないまま。

共演の芸人さんたちの
「知念ちゃんいなくて寂しいんじゃないのぉ?」
なんて図星すぎる問いに苦笑いをこぼす山田。

おそらく傷口をえぐられまくりな山田になんとか覇気を…と思うのだが…なんとも…。

「スタンバイお願いしまーす!」

スタッフさんの声が虚しく響き、スタジオへ向かうと、知念の席にはその顔パネルがつけられた人形が。

山田はその人形を切なそうに見つめている。
今だ!と、その横顔に近づき、一言。


「山田、あのさ。
知念の分まで頑張れよ…。

知念の代わりできんの、山田ぐらいなんだから」


少しは自分流にアレンジしようと思っていたが、結局はやぶの助言通り。
だって急だったし、仕方ない。

「…知念の代わりなんて……」

…あ、ダメかな、ダメだったよやぶ…。

と、思いきや。

「…そっか、そうだよな。うん。」

なにやら納得したように頷いて、次の瞬間には

「俺!頑張るよ!ありがとう」
「お、おう…」

ものすごく爽やかな笑顔が返ってきていた。
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