BOOK:79 りある
□☆代わりは俺だけ
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出された要求は、たったそれだけ。
本当にそれだけで?それだけで、このお通夜ムード抜け出せる?
なんて思ったけど、多分、やぶが言うなら何か考えがあるんだろう。
衝突することもあるけど、基本的に全面的にやぶを信頼してるから。
「わかった。言ってみる…」
『ん、頑張れよ』
優しい声に、背中も押され。
いざ行くぞっと、楽屋のドアを開けると置かれた雑誌、知念のことを撫でている山田の姿。
いや…怖いよ、まじで。
ドン引きしながらも斜め向かいに腰をかける。
これをどうすれば良いものか。
戸惑いながらも、やぶの言われた通りやってみようとタイミングをうかがう。
しかし、なにやら感慨にふける山田に話しかけるタイミングはつかめず、
「スタンバイお願いしまーす」
というスタッフさんの声がかかるまで、楽屋は沈黙のままだった。