BOOK:79 ぱろでぃ
□A只今、天使研修中 After Lesson
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窓際、タオルケットに包まってそんなメルヘン思考でサボテンをツンツンと触っていれば。「……なーに見てんの」って後ろから回った腕。
「ん?サボテン」って言葉にギュって腕の力が強くなって、苦笑する。
「ふーん。俺がいるのにサボテンなんだ」
涼介は、相変わらずのヤキモチ妬きで、
「…さっきまで仕事で構ってくれなかったくせに」
「もう終わった」
気分屋でマイペース。
不機嫌な時はすっごく怖い。
これは、研修の時に知らなかったことだ。
だってあの時は、ずっと優しかったから。
だけどね……。
クルッと後ろを向けば、
その目は優しく細められる。
「…侑李」
僕は、そんな涼介のことが、あいも変わらず
「……大好き」
大好きです。
ねぇ、涼介、知ってる?
こうやって涼介と一緒にいるだけで、僕がどんなに幸せか。
あの時、勇気を持って線路に飛び込んでよかった。
そんな風に思ってるって。
ねぇ、知ってる?
あの時、酔っ払って線路に落ちたおじいさんにも感謝しちゃうぐらいなんだよ?
「……お前、別のこと考えてる」
そう言って涼介は不機嫌顔だけど、この頭の中がどんなに涼介で一杯か知ったらびっくりするかもね。
「……僕は、ずっと涼介だけだよ。一年前から、ずっとね。」
クスリ、笑って抱きついた。
「…一年前?
……っは!?一年前俺らまだ会ってないだろ!」
少し考えるような間の後で大騒ぎを始めた涼介が愛しくて、大好きで。
「えー、そうだっけー?」
ギューって抱きつく強さを強めたけど「おい!どういうことだよ!」って涼介は引き剥がそうとしてる。
「りょーすけー大好きー」「ちょ!ごまかすなよ!」
「チューしよー」「……チューはするけど!!知念!どういうことだよ!!」
こうやって来年も、その先もずっと。
どうか一生、こんな毎日が続きますように。
…って。
結局、惚気話になっちゃった僕たちの、それから。
まだまだ話したいことはたくさんあるけど。
とりあえず今日はこのぐらいで。
じゃないと、涼介が嫉妬しちゃうから。
今度、続きを聞かせてあげるね。
その時まで、しばらく。
……バイバイ、サボテンさん。