Light of hope

□2話
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「いってきます」

通学路を歩いて学校に向かう。あれから、新学級になったので委員会などを決めていたのだが、たまたま環境委員という役が空いていたので無理矢理ではなく自ら立候補してみた。

毎日、学校の花や植物に水をやったり落ち葉を掃除したりする仕事。私にとっては、好都合の委員会だった。


花に水をやりながら、話しかけてあげる。話せば嬉しそうに葉を動かす花に、私は学校でやることが増えたと思い嬉しくなった。



毎日いじめられるけど、毎日お花と話すのは楽しかった。



「……は、花咲さん」


「緑谷くん」


朝早く来た、緑谷くん。たまたま水をやって話している所を見られたのだろうか。変なやつだなコイツと思われたに違いない。


「もしかして、個性で花と喋れるの?」

「え?」


緑谷くんの目がきらきら輝いて、私は驚いた。一年の時も同じ状況になったときは

ー花と喋れるとか何の役にもたたねーなー

ー一人で喋ってそうでキモチワルイー


「凄いなー!花とか植物とかと喋れたら、自然災害とかを防げるかもしれないし、職業の幅も増える。もしかしたら違う方法を使えばヒーローになれるかも」


「ひ、ヒーロー!?」

一年の時と違う反応で、ヒーローなんて……それにノートに全部書いている。
ヒーローなんて一度、夢を見たが自分の個性がヒーロー並みではないと知りヒーローという夢を諦めた。


そういえば、緑谷くんの個性は何なんだろうか。始業式が始まってから緑谷くんの周りにあまり人が寄らない気がするのは、気のせいではない。そして、「緑谷は無個性だ」なんて噂も立てられている。

私もいじめられているが、緑谷くんと私が接している所を見られたら、緑谷くんが酷いいじめに合ってしまうかもしれない。

ちらほらと生徒が登校しているのが、見える。
友達を作れるきっかけかもしれなかった。けれど、友達を作っては友達がいじめられてしまう。


だから、だから私は………


「私の個性につべこべ言わないでよ!」


「へっ………?」


「ヒーローになれるとか、仕事の幅が増えるとか……あなたに関係ないじゃん!!構わないでよ!」


こんな言葉、言いたくない

……ヒーローになりたかったし、ヒーローになれるかも、と言ってくれた緑谷くんを友達にしたい。けど……


涙を堪えて顔を上げれば、緑谷くんが申し訳なさそうに眉をひそめ

「ご、ごめんね……僕、余計な事言って」


書いていたノートを閉じて、後ろを向いて走っていった緑谷くん。


ごめんね……緑谷くん。





委員会の仕事が終わって、教室に行くと緑谷くんと目が合ったけど目を逸らされた。それはそうだ。あんな酷い言葉を言ったのだから。

席に座れば、また教科書がない。


ホームルームが始まって、一時間目の授業。その授業で嘘で忘れた事を伝えると、クラスの人が笑っている。
悔しいけど、仕方ない。


休み時間、一人で本を読んでいたら噂を耳にした。


「やっぱ、緑谷無個性らしいぜ」

「爆豪が幼馴染らしいけど、爆豪自身言ってたからな」


爆豪くんと緑谷くんが幼馴染か……。
意外だけど、緑谷くんは本当に無個性なのか……。
教科書を運びながらも、緑谷くんの事が気になって仕方なかった。




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