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□取られたくない
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「てっちゃん、聞いて!今日の基礎学で爆豪相手だったんだけどね。ボロクソ負けた〜」


「アイツの個性は爆破だぜ?お前の個性と正反対じゃねぇか。そりゃ、一生勝てねーな」


「うぅ……」


ヒーロー科のB組、鉄哲徹鐡と仲が良さそうに話すヒーロー科A組無し名無し。二人は幼馴染で相談に乗ったりする仲。だが名無しの性格柄B組から喧嘩を売られた日でも躊躇せずに鉄哲に喋りに行く。

一時期、名無しと鉄哲は付き合っているのではないかと噂になったが二人は幼馴染断固否定した。



「てっちゃんの個性、切島くんには及ばないもんね。腕相撲負けてたし」


「あぁ!!?それがなんだっつんだよ」


珍しく大事ではない事に喧嘩をして、B組のクラスメイトを困らせていた。


「鉄哲も名無しちゃんも、いい加減にしなよ?ほら、名無しちゃんお呼びだしされてる」


拳藤が指を指した方向には切島が、いていた。指を指されたので少しビクッと肩を震わせていたが名無しは鉄哲を睨み切島の下へと駆けていった





「鉄哲、やっぱり名無しちゃんの事好k…」

「ハァ!?そんな訳ねーよ」


拳藤に言われた鉄哲。少し赤くなって慌てたのに気付いてか拳藤はにやりと笑っていた。




「無しって、鉄哲と仲良いよな」

「幼馴染だからね」


日直なのかノートやらを二人で運んでいた。男気が強い切島は名無しに持たせずに人数分のノートを持って運んでいた。

階段を下っているとき、切島が足を踏み外し落ちそうになった。名無しは下り終わって振り向いた時だったので瞬時に気付いた


「危ない!」


名無しの個性である凝縮。切島が地面に叩き付けられる前に地面を液化したのだが場所が少しずれて名無しと切島がぶつかってしまった。


「…き、切島君……?」


「無し大丈夫か……え?」


切島の手は名無しの胸をわしづかみしていた。柔らかい触感が手に伝わりみるみる赤くなる切島。


「ご、ごめん!!」


「ううん、大丈夫。胸は減るもんじゃないし」


名無しの性格柄、胸は減るもんじゃないという意見で触られても怒らない。それはそれで危ないのではないかと思うが。


「無しの個性、良いよな」

「急にどうしたの」

二人はノートを集めながら、話していた。


「凝縮すれば、人とか助けるとき怪我をしねェで助けれる。俺なんか、人とか助けれねー気がしてきた」


「そんな事ないよ。私だって場所外したら終わりだし…だったら切島君の個性の方が強いしカッコいいし…」



名無しが切島の方を見れば、切島は名無しを見ていた。


「切島君?」


「俺、カッコいい……?」

その言葉にハッと気付いたのか名無しは赤くなりはじめ、頬を抑えて目を逸らしていた。


「う、うん……」

「そんな事思ってくれるの……無しだけだ……」


二人とも座り込み真っ赤になっていた。切島に関しては名無しに顔を見られまいと手で顔を覆っていた。
だが、男気を見せ名無しと顔を合わせ近付いた。


「実は……俺、無しの事が「名無し!!」

切島の言葉を遮って、鉄哲が階段から下りてきたハッと二人は近付いていた体を離して立ち上がる。


「おう、切島も居たんか」

「お、おう」


「てっちゃん、どうしたの?」


「母ちゃんが、焼き肉パーティーするから食べに来ないかいかって言ってんだけどよォ。切島も来いよ!」


「いや、俺は……」

「行こうよ。せっかくてっちゃんが言ってくれてるんだし。ね?」



半分強引に切島を誘った。切島は苦笑いをして頷いた







焼肉屋で鉄哲の母と仲良く話している名無しを横目で見ながら鉄哲は切島に言った。


「……切島。お前、名無しの事好きなのか?」

「ブッ!!…鉄哲!急に何言い出すんだよ!?」

「お前、わかりやすいな!」


けらけらと笑う鉄哲だが、切島にはその笑顔の底の心情が伝わった。食べていた冷麺を置いて真剣な表情で、鉄哲に訪ねた。


「鉄哲も………だろ?」

その言葉に鉄哲は動きを止めた。

「幼馴染とか言ってるけど、鉄哲は無しの事が好きなんだろ?」

「そんな訳ねー……俺にとってあいつは幼馴染として好きなだけだ。切島が想ってるみたいに恋人になってほしいとかじゃねぇ」

ふと、横に目をやると名無しが親指を立ててニッとこちらに向けて笑っている。


「おい、切島ァ!」

「なんだよ」


「お前に名無しは渡せねーわ」


「そうこなくちゃな!」

ガシッと二人は手を固く繋ぎ、男らしいオーラを放っていた。




「……何の話してんだろ?」


ジュースを飲みながら、その様子を見ていた名無し。男らしい二人は名無しを落とせるのか……。




fin?

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