壁の大きさ

□2話
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「「個性で 把握テストォ!?」」


グラウンドに集まれば、担任の相澤先生に言われた。


「入学式は!?ガイダンスは!?」


「ヒーローになるなら、そんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もまた然り」


よくわからなかったが、ヒーローになるならいらない時間は省けと言うことだ。


「ソフトボール投げ。立ち幅とび。50m走。持久走。握力。反復横とび。上体起こし。長座体前屈……中学の頃からやってるだろ?個性禁止の体力テスト」


そういえば、中学の3年間体力テストをして自分の身体能力を計っていた。けれど、能力は中の上ぐらいでまぁまぁな線だった。
あれをやるのかと思っていると、相澤先生が一人の男子を呼んだ


「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった?」


『え……』


爆豪といえば入試の実技が、レスキューポイント0で1位の爆豪か…まさかさっきの敵面だったとは……


ソフトボールを持ったと思えば振りかぶり凄い音と共に叫んだ

「死ねえ!!」


……死ね?

やっぱり、ヤバい奴なんじゃないかと思った。個性は爆発かなにかは知らないけど言葉事態が敵でしょ。


「まず自分の最大限を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」


すると、聞いたクラスメイトが盛り上がり始めた。私も握り拳を強く握ってやる気を出していた


「なんだこれ!!すげー面白そう!」

「個性、思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!!」


「面白そう……か。ヒーローになるための三年間。そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」


急に相澤先生のオーラが変わった。



「よしトータル成績最下位の者は見込み無しと判断し除籍処分としよう」


最下位に入らなければいい。上位を目指せば除籍はなし。


「生徒の如何は先生の自由。ようこそ。これが雄英高校ヒーロー科だ」


すごく楽しくなってきた。隣にいた焦凍が私の肩を叩きジェスチャーで口としてきた。気付けば口角が左上がりになっていた。


「放課後マックで談笑したかったなら、お生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける……Plus Ultraさ。全力で乗り越えて来い」


これが、ヒーローになるために。
ヒーローになるために壁を乗り越える。


「こっからが、本番だ」


ぎゅっと握った拳。そして私はまた口角を左上に上げていた。



第一種目:50m走


「轟と……轟」


先生、絶対に戸惑ったでしょ。ていうか双子なのに同じクラスなのがおかしい。

隣の焦凍はたぶん氷で速くしようと思っているはず。こっちは足の裏から水を出せば速くなるんじゃないかと思い靴を脱いでスタートの合図を待った。

水の威力を使えば、焦凍より少しだけ遅かったけど中学の時より3秒も速くなっていた。


靴を履いて次の種目に移る。


第2種目:握力


握力は苦手中の苦手。個性を使ってもたぶん意味がない(水で機械を壊す以外)
なので素の力でやってみれば中学よりはニキロぐらい増えてたけど嬉しさがなかった。


「すげぇ!!540キロて!!あんたゴリラ!?タコか!!」

「タコってエロいよね……」


男の子が話しているがエロいのかわからないけど、540キロは本当にすごい。


他の種目は、個性を使ってやってみた。しかし、一歩の所で焦凍に近付けない。

なら、ボール投げなら……

私は、くるくると腕を回して準備して左手でボールを持った。大きく振りかぶって



ボッと炎が渦を巻く。投げるというか押し出すような感じで投げると遠くまでいったようだ。

ピピッと測定器が鳴り見てみれば706m


よし、いい感じ。

左腕を見れば体操服が燃えて、ノースリーブになってしまっていた。腕を水で冷やしていると、モサモサ頭君が円の中に入った。


「緑谷くんはこのままだとまずいぞ…?」

「ったりめーだ、無個性のザコだぞ!」


無個性?緑谷くんは大丈夫なのかな。


緑谷くんは投げたけど、たったの46mで先生は言った


「つくづくあの入試は…合理性に欠くよ。お前のような奴も入学出来てしまう」

「抹消ヒーローイレイザーヘッド!!」


やっぱり、先生はヒーローだよね。どこかで聞いたことのある名前。


先生と緑谷くんは話していて何を話しているのかわからなかったけど、先生が離れれば、緑谷くんは一人ぶつぶつと何かを言っている

すると、物凄い勢いで飛んで行き無個性ではないと決定付けた。


「無個性か……」

『あの個性、何の個性かな』


「どーいうことだ、ワケを言えデクてめぇ!!」


爆豪が、緑谷くんに近付いたが先生の個性で止まった。


「俺はドライアイなんだ」

個性は凄いのにもったいない。


次の種目に行こうとして止まっている爆豪を見ると、焦りと悔しさ苛立ちが混じったような顔をして緑谷くんを見ていた。


あのあとは、順調に個性を使い全部の種目が終わった。

除籍と言うけど、私は大丈夫だと信じているので胸を張っていた。


「ちなみに除籍はウソな。君らの最大限を引き出す合理的虚偽」


「「はァァァ!!??」」

見事に嘘に引っ掛かった。まぁ、第3位には入れたけど焦凍には負けた。

これからは絶対に焦凍に勝つ。



ぐっと、拳を握って前にいた焦凍の背中を見た。


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