壁の大きさ

□2話
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小春日和……その言葉うってつけの天気に私は新しい制服に腕を通してリュックを背負う。

玄関で靴を履いて一声掛ければ忙しなく姉がやって来て言った


「焦凍先行っちゃったけど、間に合う?」

『うん』

「忘れ物はない!?」

『ない!いってきます』


「いってらっしゃい」


玄関を出て、道を歩く。桜がまだ満開じゃないけど綺麗に咲いていた。
今日から高校生。歩きと電車で時間は掛かるけど、私はヒーローになるためにヒーロー科に進んだ。それも雄英高校の…

地道にこつこつとしてきた今までの時間が全部ヒーローになるための時間。
双子の弟である焦凍も推薦入試で合格したらしく、同じヒーロー科。


登校途中の電車で、周りの人からの目線が痛かった。


「雄英だよ。あの制服」

「羨ましいわー」


口角が上がるのを押さえて雄英を目指した。
マンモス校の雄英を目にして、私はクラスの1-Aに向かった。扉も大きいけれどこれも雄英だかららしい。


扉を開けるとみんなからの目線が痛い自分の席に行こうとすると、なぜか焦凍がいた。私だけ出っ張ってるんだけど…そこは気にしない

何食わぬ顔で座っている焦凍。少し小突いてやりたかったが、この空気ではできない


言い争っている横を通ろうとすると


「君も思わないか!?」

急に眼鏡を掛けた人に言われて驚いた。急すぎるし、なんか机に足を乗っけてる人、いかにも敵面なんですけど。


「机に足を掛けるなどと申し訳ない事をしているんだ。失礼だと君も思うだろ?」


「あぁ?なんでモブに話し掛けてんだよ。てめーらどこ中だよ」


「ボ……俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ」


「聡明〜!?くそエリートじゃねぇかブッ殺し甲斐がありそだな」

「君、ひどいな。本当にヒーロー志望か!?」


と話しているすきに私は席に着こうとしたが、また敵面の人に絡まれた


「テメェ、人の質問聞いたか?!」

『どこ中だよって?』


「聞いてんじゃねーか!このクソが!!」


と言っていたがめんどくさそうなので、頭を掻きながら自分の席に着いた。なぜ着けたのかは、入り口にいるモサモサ頭くんのお陰だった。


「氷炸、お前色々と絡まれるな」

前の席の焦凍がすれ違い様に言った。っていうか、焦凍と一緒に家出ればこんなことならなかったのに……


『今日の運勢かな…』


なんて話していると、急にモサモサ頭くんと明るい女の子が話している所から声が聞こえた。


「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」



なんかいるぅぅ!!

登山でよく見るあれだよね。寝袋みたいなやつに入ってる人が……
みんなも同じ事を考えているのか口を開けて顔が硬直していた。


「ハイ。静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね……担任の相澤消太だ。よろしくね。」

すごく、やる気のなさそうな目が私たちを見るけど担任の先生だなんて……それに、体操服らしき物を出してグラウンドに出ろと……
入学式は行わないわけか。


体操服を開いて、奇妙な先生を見た





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