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□星癒
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星癒➀
ここはとある第二世界。
星屑の降る世界。
地球と全く変わらない姿で、たった一つ違うのは星が近いこと。ただそれだけ。
〈二番乗り場、二番乗り場。地球行きが入ります〉
…あ、今日も地球人がやってきた。
[わぁーい!!お兄さん!早く本読んで!!]
今日も僕は子供達に童話を語り続ける。
何と言っても、童話の世界は主人公が幸せになってくれるのがいいところじゃないのかな、って思う。
僕は周りから子供しか愛せれない孤独な人だとか思われてるんだろうな。
「うん、じゃあ今日は"ハーメルンの笛吹き男"っていうお話を読むね」
このお話は僕にとても似ているんじゃないかって錯覚することがある。
…街の人から追い出され、厄介者だと思われ。
僕も小さい頃はそう言われ育ってきた。
幼い頃に優秀だったナムジュニヒョンが事故でなくなった。それを機に母たちは、僕を厄介者だと言い始めた。
僕を庇い、僕の代わりに自らを投げ捨てたヒョン。
僕なんかと違って面倒見も良くって、頭の良かったヒョンなんか死なずに役立たずの僕が死ねばよかったのに。
何度そう思ってきただろうか。
それから親に見放され、図書館に通い一人で勉強するようになった頃一人の男の人に出会った。
『君はここで、何をしているの?』
黒い髪、白い布のようなもので覆われ顔は見えない。
「勉強だよ」
素直にそう答えれば、戸惑った顔をしたその人が
『もっと楽しい事があるんだよ?』
知りたい?、そう聞いてきたその人についていった。
広い野原に出てきた僕とその人。
『この笛の音にのりながら、二人で遊ぼう』
太陽の光で照らされ、白い布が少し透き通って見えた時その人の笑顔が見えたのような気がした。
そこまでしか記憶がない。
その笑顔を見た瞬間僕は何も無かったかのように、図書室の自分の席についていた。
夢だったのか、?なんて思うほど正確に記憶は残っているのに動いた形跡は無かった。
その人が忘れられず、図書室でずっと待っているのにその人は訪れることはなかった。
その人がしてくれた様に、僕みたいな孤独な子供達に幸せを与えてあげたいって思うようになった高校生位のとき。
〈じゃあ、子供達に朗読してあげたら?〉
そう声をかけてきたのは当時その図書室の取締のジン先生。
『あ、なるほど…ぼく、なれますか?』
〈うん…君みたいに純粋で綺麗な子ならなれるよ、きっとね…〉
僕はそれから地球の中の世界中の童話を買い占め、それを一から全て読んだ。
僕のお気に入りはたくさんある。
女の子にはシンデレラ、ヘンゼルとグレーテルとか…
人を愛する、それがいかに大切か…
僕は身に沁みてわかった。
「笛に釣れられた子供達は一体どこに行ったのでしょうか…おしまい。」
子供たち一人ひとりの表情が全然違うこの話。
嬉しい顔をするものもいれば、悲しそうな顔をするものもいる。
「お兄さんはね、このお話…いいお話だと思うんだ。孤独な子供たちが男の人に付いていくことで失われてた笑顔を取り戻したんだ…皆、幸せで生きてるんだよ…」
僕がそう言うと皆泣き止むのをやめて、僕の話を一生懸命聞いてくれる。
僕の勝手な思いだけれど、それを純粋に受け止めてくれる純粋な濁りのないみんなの心も大好きだよ。
「さあ!今日は、ここまで。明日もまた来てね〜」
そういうと、僕にハイタッチしに来たり抱きしめてもらいに来たり。
みんなのことを一番愛してる。
僕の孤独な心を癒やすのもこの子達。
皆の心を癒やすのも僕。