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□貴方を探して
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オメガバース



僕はβだ。

αのように特別な地位があったり、Ωの様に妖艶な魅力を兼ね揃えているわけではない。

平均的で、至って普通の人間。

成長して、就職して、結婚して、死ぬ。

それだけの人生。全く面白みの欠片もない。

…そんな僕の人生はとあるときから一変した。

僕が高校3年生のとき。一年生でチョンジョングクという後輩に出会った。

彼はαクラスの家柄良し、容姿端麗、文武両道。

いかにも人気がありそうな後輩と友達になった。

きっかけはダンスとか趣味があったからってだけなんだけれどね。

…でもある時ジョングクが告白してきた。

「ジミニヒョン。僕ジミニヒョンの事好きです。」

僕も好きだったからもちろんオッケーしたのだけど。

…でも、もし番が見つかったら僕は捨てられるんじゃないだろうか。

そんな不安にいつも駆られていた。

でもあるとき彼は

「もし、番ができたら勿論ジミニヒョンとはサヨナラになるかもしれない。だけどね今はジミニヒョンが好きだから。それだけだよ。」

その一言で僕は少し安心した。

勿論ジョングクは自分から番を作りにはいかない。

だけれどαには一生の中で決められた番と一度どこかであって(これを運命的な出会いという)

そこから一生添い遂げる人としてそばにいるらしい。

…何回僕はΩになりたいと思ったか。

「ジミニヒョン…ごめん…番が見つかったんだ」

そう告げられて空白が空いてどれくらいだったんだろうか。

…ジョングクが僕じゃない人を好きになる?

…ジョングクと一緒にいれないの?

そう思うと酷いくらい悲しくなった

『どうしてっ!…なんでっ!?…っ、っふ、なんでっ…』

「ごめんっ、ごめんジミニヒョン!」

一通り僕が落ち着いて自分の思いも話すことにした。

『前から思ってたよ、ジョングクが23歳超えたからそろそろ出会うんじゃないかって。昔からいつかはずっと一緒にいれないんだってそんな事わかってるけど僕はジョングクの事が大好きで、何回Ωになりたいって思ったか…僕は一度でいいから生まれたときに戻りたかった…』

素直な気持ちを話し始めれば止まらなくなる口。

『ジョングガ…僕はねジミンだよ。βなんだ。だからαとは繋がれないんだ、どうすればいいの?どうしたらジョングクと一緒にいれるの?』

そういうと困ったように答えるジョングク。

「ごめん…」

『分かってたよ、困らせてごめんね。ごめん。』

『じゃあ、僕達サヨナラしなきゃいけないね。』

「うん、ごめん…」

『さよなら。』

僕から出されたサヨナラの言葉は凄く弱々しかった。

故に僕は辛かった。

いくら頑張っても彼には番が見つかったから。

…神様はひどいなぁ。

こんなに僕がジョングクのこと好きになるって事があるなら

Ωに生まれたかったのに。

…βの自分が嫌いになるよ…

僕は捨てられた。

僕から去った。

…彼の愛はとても温かった。

僕に愛という感情を教えてくれた大切な人。

だからこそ幸せになって欲しい。

"ありがとう、"

それから何年経っただろうか。

僕は二ヶ月ほど前に恐ろしい目眩に襲われ病院に行くと

【突然変異ですね】

そう呟かれた。意味が分からなくて医者に尋ねると

【あなた母親がΩで父親がαなんですよね?それから奇跡的に生まれたのがβ。ですが、お母さんの遺伝子が強く突然変異が起こってしまい、Ωに変異したんです】

昔からなりたかったΩ。

だけど大切な人がいなくなってからは今が無いようにも思えた。

【抑制剤と、これからについての資料です。わからないことがあれば見てください。】

急な事で頭がクラクラしそうだ。

『急にΩだなんて…』

急いで家族に伝えた。

母からは[え、うそ…]と言われ大号泣された。

αの弟からは[じゃあ兄ちゃん僕に近づかないほうがいいね]なんちゃって。

父に話すと一度戻ってこいと言われた。

家族に話して相談すれば、

[とりあえず、Ωについて勉強して、生活しろ]

たったそれだけだった。

Ωはとても大変だった。

何ヶ月かに一度発情期があって、抑制剤を飲まないと自分が自分じゃないみたいにおかしくなる。

今日もいつもと同じように会社で仕事をしていた。

(ジミンくん、これを海外事業科に渡しに行ってくれるかい?)

海外事業科にはαでエリートしかいない。

なかなか緊張しながら足取りが重くもなっていた。

『すみません、キム…テヒョンさん?いらっしゃいますか?』
 
中には真っ昼間だろうか、一人しか人がいなかった。

《はい、》

その瞬間大きな目眩に襲われた。

体がむず痒くなり、いてもたってもいられなくなった。

…くっそ、これは、…うそ、今日は違うはず!

《ちょ、あんた、》

急いで抱きとめられて、

その人の目の色が変わった瞬間。

…あ、この人が僕の"番"だ、

そう直観的に悟った。

___________

《ねぇ、ジミン》

『ん?』

《好きだよ》

そう言われて軽くうなじにある番の印にキスされた。

ジョングクとは違って、

低い声で少し鼻にかかる声。

『うん、僕も好きだよ。』

ジョングクは幸せになれたかな?

僕は幸せになれたよ。






END






後日談はまた違う章で書かせてもらいますね〜☆
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