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□目を逸らしたその先に
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いちごみるくパロクオズ
笑顔を向ける君が眩しくて、何も言えずに目を逸らした。ただ側にいるだけでいいのだと、いつかした覚悟が揺らいでしまいそうで、怖かったから。

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ただ隣にいて、君の一番近くにいて。

…それだけで良かったはずなのに僕はいつの間にか欲張りになっていた。

早く君の心がほしい。

いつからか隣にいてくれるだけでは満足することができなくって。

もっと、もっとって求め始めた俺の心。

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「テヒョア、メロンパン買ってきて〜」

『またかよ〜笑。俺ってお前のパシリ?』

笑いながらそういうふうに言うと、ジミンは僕を見てこういった

「困ってるときに助け合うのが俺たちみたいなもんだろ〜さ!買った買った〜!」

お前が久しぶりにまともなこと言った、なんて感心してる余裕なんてなくいつの間にか売店の前まで背中を押し出されていた。

遠くからジミンを眺めた。

もう俺達も高校三年。いつの間にか出会って10年以上経っていた。

『もう十年…まだ十年、か…』

たった十年なのに、俺達は別々の道を歩むことになった

もう十年経っているはずなのに、まだ僕達には知らないことも沢山ある。

『おばちゃん、メロンパン1つといちごミルク1つ』

いつの間にやら自分のことよりもお前を優先するようになって、お前は俺の事なんとも思ってないかもしれない

そんな俺はおまえに気があるんだ。好き。
だってあんなに俺を理解してくれて気軽に過ごせるんだから…

一階から屋上まで上がるのって意外と長いんだなぁ、

ジミンと屋上まで向かうのは時間が短くて、あっという間なはずなのに、一人で歩いているとやっぱり長く感じる。人も多く感じる。

…あぁ、やっぱりお前がいないと俺は楽しくないんだ。

屋上のドアノブを右にねじった。

ここに入ったら俺とお前の二人の気楽な世界。
逆に今は一人だけのつまらない世界。

…あぁ、ここに来るのも何回目かな。

初めてこの学校に来た時、俺もお前も落ち着かなくって緊張ばっかりして。

「なあ、クラス同じかな?…離れたらどうしよう〜!」

…お前は離れたって大丈夫なくせに、そうやって無駄な難癖をつけながらも可愛い。なんて思いながら

『離れたって大丈夫だよ…きっとね。』

僕だって確証なんてものは存在しないってわかってる。

きっと大丈夫。俺は無理かもしれないけど。

お前の笑顔が見れないだけで心配になるのに。
お前が体調が悪くなるだけで怖くなるのに。

(俺は無理かも、しんないけど…)

そうやって心で呟いて。また自分だけわかる自分の心の中だけで傷を増やして。

(あぁ、いくら俺は心に負荷を与えてるんだ…)

「俺ここのいちごミルクとメロンパン好きだな…このイチゴミルク甘くなくていちごの甘さだけって感じがいいんだよね…」

お前がそう言うから、その週はおまえにイチゴミルク毎回おごってた。
それにお前が好きなら、なんて思って俺自身毎日飲んでたのに。

「俺、このミックスジュース好きだな…」

二年になって呆気なく好きなものが変わっちゃうんだから。

『お前はイチゴミルクとミックスジュースどっちが好きなんだよ〜』

「んー、どっちも?笑」

…お前恋愛で言えば飽き性で二股かけちゃう奴だな、気障な奴め。

『そんな浮気まがいな事…笑』

「浮気なんかじゃないよ〜これはお気に入りを決めてるだけだよ〜」

『あはは』

そうやって場を流したけれど、昔も人間関係で自民葉おんなじことあったぜ?…なんて思いながら。

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『ジミン、買ってきたよ』

「お前、遅いじゃんか〜腹空いた!」

俺はひとつだけお前に抗ってみたんだよ。早く早く、気づいてよ。

「あ、なんでミックスジュースじゃないの?なんでイチゴミルクなの?」

…よく気づいたね。

『だって俺がイチゴミルク、好きなんだもん。』

初めてお前に我儘言ってみた。

「…ふーん。テテが我儘言うの、珍しいね。」

少し機嫌を損ねたのか分からないけれど、唇が突き出てる。

そういうけれど、手早くいちごミルクのパックにストローぶっ刺して、勢い良く吸い込む。

ピンク色の可愛らしい液体がジミンの体内に吸い込まれて、ピンク色の液体が唇を艶々にする。

『おいしーい?』

「うん、前の味と変わらないね」

…俺の心も、いつまで経っても変わらないから。
それが伝えたくって。

お前がそういうふうに言うと思って、僕はいちごミルクを買った。

ミックスジュースより50円くらい高いんだけどね。

「やっぱり、これも美味しくて久しぶりで…あと1ヶ月で卒業してこれが飲めれないのか…なんか、寂しくなってきたな〜…」

耳から入ってくるのは明るい声なのに、最後言葉をつまらせたジミンの方に向けば表情は凄く沈んでる。

『大丈夫、またここに来たら味は変わらないから』

「そうだね…っ、」

僕が顔を上げていることに気づいて、俺の方に向いて天使みたいな笑顔を向ける。

太陽の光で黒い髪が光って、上に上がる口角が。

俺はその笑顔を見て、また決意が揺らぎそうになったんだ。

(お前が、大好きなんだ。…もう伝えてもいいの?)

そんな自分の葛藤がまた僕の決意をゆらゆらとさせる。

怖いのにね。



そうだよ、ジミン。

遅くたって、いつでも変わらないものもある。

いつまででも永遠に純白の様にキレイなものがあるように、僕達の繋がりもきっと美しいものだろう。

細い繋がりであったとしても、壊れてしまわない様に強く結びつけておけば、簡単に壊れない。

…美しい蜘蛛の巣のように



遅くたって俺はいつまでも待ってる。

お前が誰かと結婚したって、付き合っていたって。
俺はお前を思い続けるんだろう。

…だって出会った中で一番お前に心惹かれたから。



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