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□Soap
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あぁ…今日もかっこいいなぁ…
なんて、呑気に浮かれてる僕、パクジミン。
健全な男子高校生なのだけれど、僕が恋しているのは男
いつも爽やかな匂いで、クールでイケメンで、いかにも頭が良さそうな面持ちをしている彼は凄くかっこいい。
僕は彼について何も知らない。
彼はあの真っ青で一見よくなさそうに見える石鹸が好き、ってことだけ。
僕はプワゾンの香りがするあの白い石鹸が好みなんだけどね。
僕は所詮品出し。レジもたまーにするけれど、お目当ての彼が来るのは平日の夜。
入り口にやってきたクールな彼を横目で見ながら、下の地下にある倉庫に歩いた。
冬の季節で地下はすごく寒い。
こんなところでダンボール開けて、パッケージに包んで…なんてしてたら本当に凍え死んじゃう
今日は一段と寒いなぁ…なんて上に上がるために外に出てきたら雪がちらほら降っていた。
手が凍えて、痙攣し始めた頃ついにダンボールが下に落ちてしまった。
「寒い…」
溢れた中身を拾ってダンボールを再び持って顔を上げた。
『大丈夫、ですか…?』
…はぁー、これは夢なんだろうか。
あれから結局温かい飲み物なんて物ももらって、ダンボールも代わりに持ってくれた。
今隣に歩いてるなんて信じらんない。
「その…ありがとうございました。また今度石鹸、サービスしますよ」
彼の爽やかで良い匂いがして、僕の脳内もふわふわと静かに揺れていた。
だから浮かれちゃって勝手に石鹸サービスする、なんて約束しちゃったもんだから。
『ありがとうございます!』
笑顔を見せてきて、もっと君が好きになるのに。
なんて思いながらまた仕事に戻った。
〈おーい、ジミナぁ。お前今日はレジだってよ〉
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彼が来なくなってはや二ヶ月。
僕は最近レジ担当がやめてしまって、なぜかレジ担当に回されてしまった。
そんなこんなでここのバイトリーダーでもあるテヒョンに
〈レジなんだからかっこよくしろ!〉
って言われてから頑張って痩せたし、髪もキャラメルみたいな色になって眼鏡も外したし長い前髪だってバッサリ切った。
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「んー、知ってるよ」
最近めんどくさい客が多い。それも男。
なんでか知らないけど前みたいに女ばかりじゃなくて男の人口密度がやけに高い。
…それに、視線が痛い。
はぁ…彼が来ないから前は羨ましかったレジでも今はちっとも嬉しくなんてないや、なんて。
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「いらっしゃいませ〜」
またたくさん人が集まってきた。
最近はハニーの匂いの石鹸がよく売れるみたいでその石鹸が好みなテヒョンはすごく嬉しがっている。
逆に僕はコアなファンしかいない、ポワゾンの石鹸だからなかなか売れない。
店員はみんな名札の下におすすめの石鹸と名前を書いてるんだけど、テヒョンは毎回のようにあの石鹸で呼ばれている。
「いいなぁ〜…」
やっぱりイケメンっていいよね…痛感した。
それから一週間。
彼が来なくなってもう二ヶ月。
なんか忙しいのかなぁ…って。
今日も入ってくるお客さんに目を向けず挨拶をした。
レジにやってくるお客さんがいたから慌てて立って接客をすると
『こんにちは、ジミンさん』
また僕の心を揺さぶる彼が現れた
…もう、何回僕の心を盗んだら気がすむの?
「こんにちは…どうか、なされましたか?」
笑顔でこちらを見る彼の視線が妙に甘ったるくて視線をずらしてしまった…
『あなたの連絡先、教えてください』
続く