For.You

□Macau together.
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マカオの二人。☆

マカオについた夜からジミニヒョンの体調はすぐれなかった。

一人だけ、マネージャーヒョンと最後に飛行機を降りてから歩けていなかった。
そんなジミニヒョンがすごく心配だった。

人一倍努力家で心配性で、今の今まで歌を歌って振りの確認をしていたジミニヒョンが…
そんな人がライブに出られない、ファンに完全体を見せれないって本当に本人はかなり辛いと思った。

僕だってジミニヒョンといつもしているアイコンタクトできないから、頑張れるかどうかもわからないし…

ジミニヒョンのメンタルはきっといまボロボロになってると思う。泣いてると思う。

助けに行きたい、話したい。
なのに、リハーサルはそれを許してはくれなかった。ヒョン達だって今はダメ。その一点張りだった。

….僕の辛さわかる?
ヒョン達にわかるわけない。
僕の恋人はジミニヒョンであり、大切な人。
唯一幸せにしてあげたいと思った人。

ジミニヒョン…今何してるの?


でも、リハーサルといっても気をぬくことなんてできなくって。
僕はぼーっとしたままふりを踊っていた。

少し休憩に入って、急いでマネージャーヒョンのところに向かって聞いてみた。

『ジミニヒョンは…どうなってるの?』

[あ、今は大丈夫みたいだけどライブは踊らないで歌だけ参加する予定]

…なんだか、それだけで嬉しくなった。
ジミニヒョンが歌を歌える。
あの綺麗な声で、少し上擦った舌足らずなハスキーな声。

…ファンのみんなが嬉しいように、僕も嬉しい。
だって恋人だもん、恋人の安全と幸せを願うのは僕、ジョングクの想いだ。

「よかった….」

心からの想いだった。
僕たちが付き合ったのは半年前。

それに、僕がジミニヒョンから一回告白された時突き放してしまってまた新たにジミニヒョンの気持ちを取り戻すのはすごく大変だった。

最近になってやっと、恋人ということをやっと受け入れることができたのか他のヒョン達に向ける笑顔だとか、声だとかとは少し違って糖度が高くなるようになった。

そんな幸せの中で、急にこんなことが僕に降りかかってきたわけだからすごく不安にもなるし心配になる。

….どこかで一人で泣いていないか、苦しんでないか。いつでも気になって仕方ない。


午前中のリハより、ジミニヒョンの無事を聞いた午後は少しだけやる気がみなぎった。

ジミニヒョンの代わりに僕が頑張って、いいところ見せなきゃ…そうやって考えることで少しでもジミニヒョンのいないリハーサルを過ごした


ホテルに戻ると、ジミニヒョンのことについての報告と明日のライブについての話し合いがあった。

[じゃあ、まあ集まってもらった理由はわかるだろうから。話進めるぞ]

「…えと、みんなに凄く申し訳ないんだけど…僕はお医者さんからストップがかかって踊ることは控えるように言われました、だから…みんなの完全体に参加できないんだけど…本当に、ごめんなさい……」

本当にごめんなさい、そういうジミニヒョンの表情も暗くってお辞儀もすごく長い時間頭を下げていたような気がする。

『ジミニヒョン、もう頭あげてよ。体調が一番大事だよ?…体調崩してまでやれ、なんてそんなこと僕たちが言うわけないじゃん。…ジミニヒョン、大丈夫だよ』

「……っ、ひっ、……」

頭を下げたまま泣き続けるジミニヒョン。
…やっぱり、責任を感じてたんだね。僕たち、ジミニヒョンが元気になるの待ってるよ…

床にポタポタと音を立てて落ちていく丸い水玉
それはなんとも悲しさに溢れていた涙だった。



その当日、朝見たのは少し硬い表情をしたヒョンだった。

『ヒョン、心配しないで。』

「…うん、」

小さく呟いた声には、心配なんてせずにいられるか、そんな声が聞こえてきそうなくらい肯定の意思は全くなかった。


夕方になってメイクの準備が始まった頃、ヒョンはいつの間にかいなかった。

みんな各それぞれのことをしていて、ヒョンが何処かに行っていると気づいたのは僕だけかもしれない。

…声出し、表情筋のトレーニング、ダンスのコリオグラフィの確認、歌詞の確認…中国語の確認。

『ヒョン〜?どこー?』

歩いて、楽屋のあたりを探すけれどどこにも見当たらないヒョン。

…僕はそこでもしかして、と思い出した。

ヒョンは昔、すごく辛かった時に誰にも言わずにお手洗いで篭って泣き続けていた。
その時、それを見つけたのは大親友のテヒョイヒョン。

…今度は、"恋人"の僕が見つけてあげなきゃ…
そんな使命感に駆られた。

1階から全部のトイレを回ってった。
2階と3階のトイレにはいなくって、やってきたのは屋上の下のトイレ。

『ヒョン?』

「…っ、ふっ、ひっ………っ、」

泣くのを耐えてる時の嗚呼が漏れていて、あぁここにジミニヒョンは閉じこもっていたんだね。

『ヒョン…開けて。』

「……っ、じょん、ぐが?」

泣き顔を見られたくないのか、なかなか開かないドア。

『ヒョン、拭かなくていいから。あけてよ…』

ゆっくりガチャっと音がして開いた。
目の前には蹲って目が赤くなってポロポロと水玉を落とし続けるヒョン。

『ヒョン……、』

「じょ、んぐがっ、…」

ヒョンが1人の小さい子供のように見えた。
それだけか弱そうで、弱っていたように見えたんだ。

静かに近づいて、ヒョンの肩に手を回した。
ぎゅっと子供を安心させるような感覚で。

『ヒョン、大丈夫だよ…っ、』

背中をさすると、安心し始めたのか呼吸がだんだん深くなった。
それと同時に僕の背中にヒョンの背中が回され、僕よりも二倍くらい強い力で抱きついた。

「じょんぐがっ、こわいっ、……、」

『ヒョン、僕はヒョンが大好きです。…だからこそ泣いてなんて欲しくないんです。自分の体調が悪いだけで、アーミー達は心配してくれて身体休めてねってみんな言ってます…心配しないで、あなたには僕も、アーミーもヒョンも…みんないるんだよ…。』

「…ぐがぁっ、ありがとっ、……」


2人で泣きあったあと、メイクさんに散々怒られたけどジミニヒョンには笑顔が見られた。

…幸せだった、告白した時から泣いたところの印象が強すぎて辛かったから。

あの笑顔は天使の微笑みと変わらないような気がした。

僕の天使は6枚の羽を持つ、セラフィムと同じようなものだ、それだけ尊い存在であるってこと。


『ヒョン、行きましょう』

手を引いて、アミボムの光が僕たちを照らすステージへと出た。








Happy macau Kookmin!!

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