Novel2
□真実の華
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「それじゃあ、行ってくる」
「嗚呼、気をつけてな」
すまなそうに告げられたカガリの言葉にできるだけ優しく返して手を振った。
恭しく頭を下げるメイド達と一緒にカガリを送り出してからアスランは溜息を着いた。
強制的にとらされた休暇に頭を抱えたい気分だった。
勉強会と称してセイラン家に招かれたカガリの護衛を解かれたのだ。
無論、反論はした。しかし、カガリの後ろ盾を勤めているセイラン家の者に、亡命者であるアレックスが強く言えるわけもなかった。
『たまには、彼も休ませてあげなきゃ可哀相だよ』
と猫撫で声でカガリに囁いたユウナの姿を鮮明に思い出してしまい、肚の底が瞬間的に熱くなる。
あの、侮蔑と優越に満ちた笑みが生理的な嫌悪感をアスランにもたらす。