Novel2

□月に叢雲、花に風
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今日も今日とて、彼女は、歳に似つかわしくない厳しい顔で客人の相手をしていた。

「ザラ准将、何度来られても一度決定した予算は直せない。国力そのものが落ちているのに、軍にだけ資金を融通することは出来ない。…復興のために割くならともかくな」
「しかし、これでは有事に耐えられないですよ」

オーブのMS・MA技術は、間違いなく他国の脅威だ。メサイアでの小数精鋭の活躍は、世界中の知る所だ。故に、水面下で他国は兵器の改良に凌ぎを削っている事だろう。オーブも軍への圧政が長引けば、技術を持ち出して他国に売る者も出始める。
それが、アスランには心配であった。
深くなるアスランの眉間の皺にカガリはふっと溜息を付いた。
「ザラ准将、見くびられては困る」
そういって彼女は、いささかきつい顔でアスランの瞳を射抜いた。
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